オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『バッド・チューニング』

Dazed and Confused, 102min

監督:リチャード・リンクレイター 出演:マシュー・マコノヒーベン・アフレック

★★★

概要

夏休み前日の高校生たち。

短評

知りもしない70年代アメリカの空気を感じられる一作である。本作と同じリンクレイター監督の『エブリバディ・ウォンツ・サム!!』と似た雰囲気だろうか。「若いって良いよなぁ……」と羨ましかったり、懐かしかったりする。時代や国は違っても、皆似たようなことを楽しんだり、悩んだりしている。青春だなぁ……。

あらすじ

ストーリーと呼ぶべき筋書きや特別な出来事は何もない。夏休み前日の高校生たちが、新入生歓迎の儀式に興じてみたり、バカをやったり、酒を飲んだり(マリファナを吸ったり)、パーティーしたり、将来に悩んでみたり、男女でイチャついてみたり、喧嘩してみたり、仲間とダベったりと(ダベるは死語か?)、ありふれた、それでいてかけがえのない光景が描かれている。

感想

本作の舞台となる1976年には三十郎氏はまだ産まれてもいないし、過激な通過儀礼に参加したこともないけれど(男の尻バットよりも、女の卵&小麦粉&洗車の方がエゲツない)、なぜかノスタルジーを感じる。この世代の、ちょっと背伸びしたかったり、羽目を外したかったりという感情自体は万国共通なのだろう。若者が自由を謳歌しているだけなのに、そこには心地よさすら感じる。

どこに向かっているのか分からない話の切り方が絶妙である。参加者も意識していないパーティーの終わりが、ビールの品切れで表現されている。まだ話し足りなくても、何も成し遂げていなくても、ビールがなくなれば強制終了。高校を卒業すれば高校生活が終わるのと同じである。やり遺したことがあっても、青春時代は唐突に終了する。永遠に続くように感じられてもいつかは終わる。それはちょうど本作で夜が明けるかのようである。

マシュー・マコノヒーベン・アフレックミラ・ジョヴォヴィッチがそれぞれちょい役で出演している(本作には一応の主役と言えるキャラクターはいるが、様々な場面を切り取っただけなので、ある意味では皆がちょい役である)。皆若いけれど今と変わらない。本作で映画デビューしたマコノヒーは、やけに仰け反った体勢も、妙にねっとりした喋り方も、既に完成されている。ちなみに女子高生好きのアメフト部OBという気持ち悪い役である。新入生に尻バットを叩き込むことを生き甲斐とするクソ上級生を演じるアフレックは高校生にしては老けているが、尻バットのために落第&留年していると分かって納得。レニー・ゼルウィガーの出演シーンは、観た後に調べて初めて分かった。

劇場公開されずWOWOWが名付けた『新アメリカン・グラフィティ/クールで行こう』の邦題よりはずっとマシだが、原題『Dazed and Confused』の語呂の良さはもう少し活かせなかったのか。

バッド・チューニング (字幕版)