オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ロマンティックじゃない?』

Isn't It Romantic?, 88min

監督:トッド・シュトラウス=シュルソン 出演:レベル・ウィルソンリアム・ヘムズワース

★★★

概要

ブコメ嫌いの女がラブコメ世界に転生する話。

短評

ラブコメ処方箋』よりも分かりやすく“ラブコメあるある”を茶化した映画である。三十郎氏も主人公ナタリー同様にラブコメ・アレルギーを発症しているため、「こんなバカな話があるか!」と戸惑う様子が楽しかった。

あらすじ

プリティ・ウーマン』に憧れる少女ナタリーが、母から「男なんてクソ。あんたはジュリアじゃないのよ」と育てられ、立派なラブコメ嫌いの女(レベル・ウィルソン)に成長する。彼女が頭を打って目を覚ますと、そこはラブコメの世界だった。

感想

ナタリーが目覚めた病室にはハンサム過ぎる医師がいて、病院の外には花が溢れ、通りにはカップケーキとウェディングドレスのショーケースが。鳥はハート型に編隊を組んで飛んでいる。部屋は広くてオシャレに変貌し、犬は懐き、ゲイの友人がいる。特定の元ネタは分からずとも、全てどこかで見たことがあるバカみたいなお約束に満ちている。特に可笑しかったのは、家族向けのラブコメ世界に転生してしまったために、金持ち&ハンサム&巨根のブレイク(リアム・ヘムズワース)と交わろうとすると、朝チュンの場面へとジャンプしてしまう演出。ナタリーは「折角だから」と一戦交えたがるが、何度やってもヤレずに朝チュンへとループする。可哀想に。三十郎氏が転生させられるならR指定がいいなぁ。

ブコメ世界に転生して“あるあるネタ”をバカにしまくる序盤は楽しいが、最終的には普通のラブコメに収束していたり、現代的な“あるあるネタ”から抜け出せていなかったりと失速感は否めない。特に終盤の自己肯定ネタは、現代の感覚からすると本作で茶化している“あるある”以上に“あるある”として陳腐化している印象を受ける。折角なのでもう一捻り加えて、これすらも茶化してしまえば面白かったのではないかと思うが、そこに辿り着くには次の“あるある”が必要となるので、この“あるある”ループは必然的に永遠に続くのである。

このラブコメ世界が昏睡中のナタリーの夢だったというのは面白い。フロイト先生がどう評するのかは分からないが、母により抑圧されていただけで、深層心理ではラブコメへの憧れがあったのだろうか。“寂しい女のマトリックス”は、彼女にとっての酸っぱい葡萄だったのか。

ハンサムなバカという兄クリスが演じそうな役どころのリアム・ヘムズワース。この手の役は兄の専売特許かと思っていたが、弟もはまっている、このオースラリア人兄弟は頭空っぽの星の下に生まれてきたらしい。レベル・ウィルソンもオースラリア人だし、ラブコメ的ニューヨークをメタで見るという世界観に異邦人を紛れ込ませる意図があるキャスティングなのだろうか。

プリヤンカー・チョープラーが歌って踊ると、途端にボリウッド映画になる。

Isn't It Romantic (Original Motion Picture Soundtrack)

Isn't It Romantic (Original Motion Picture Soundtrack)