オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ロスト・シティZ 失われた黄金都市』

The Lost City of Z, 140min

監督:ジェームズ・グレイ 出演:チャーリー・ハナムロバート・パティンソン

★★★

概要

イギリス人がアマゾンの奥地に古代都市を探しに行く話。

短評

ワクワクしない系の冒険映画。タイトルに“Z”とあるとゾンビ映画のようだが、このZは「人類の歴史を埋める最後のピース」という意味である。ゾンビは出てこない。監督は『アド・アストラ』のジェームズ・グレイ。描かれている内容には類似点があり、この監督の描きたいものがぼんやりと見えてきた気がする。

あらすじ

実話が基になっている。1900年代初頭。イギリス軍少佐パーシー・フォーセット(チャーリー・ハナム)が、ゴムを巡って争いを起こすブラジルとボリビアの国境測量のためにアマゾンの奥地に足を踏み入れ、その際に文明の形跡を発見する。先住民の「黄金の都市がある」という言葉もあり、彼はこの地に古代都市があることを確信する。彼の真の冒険が始まる。

感想

『アド・アストラ』では、主人公が“何もないということ”を見つけて帰ってきたが、本作のフォーセットは何かを見つける前に命を落としてしまう(史実として失踪の事実のみが残されていて、現地で死んだというのは解釈なのだとか)。しかしながら、“未知の何か”を追い求めるという行為や欲求自体は二人に共通していると言えるだろう(『アド・アストラ』の場合は特に父クリフォードに)。

冒険家と言えば勇気とロマンに満ちた輝かしいヒーローのようなイメージがあるが(主にジョーンズ博士が原因で)、その実態は家族を蔑ろにする無謀な人間である。本作では蔑ろにした側を、続く『アド・アストラ』では蔑ろにされた側の視点を描いたというわけである。ロマンという言葉が現実の問題を解決してくれるわけではない。それでも人はロマンに取り憑かれ、ロマンを追い求めてやまない。

フォーセットは元々探検家ではなかった。実戦で功績を上げたいと願っていたが、一度アマゾンに赴くと、その魅力に取り憑かれてしまう。第一次世界大戦が勃発し、本来の希望であったはずの軍の指揮を執る彼からは、アマゾンでの情熱はまるで感じられない。心ここにあらずである。人は“自分が追いかけるべきもの”を見つけると、それが頭から離れなくなるらしい。その“追いかけるべきもの”が普通よりも遠くにある人を冒険家と呼ぶのだろう。

戦闘中に毒ガスを吸い、視力が低下してしまったフォーセット。もう冒険は無理と諦めていたが、ここで登場するのが、かつて「父さんなんて大嫌いだ」と怒っていた息子(トム・ホランド)である。成長した息子は「父さん、一緒に行こう」と彼を再びアマゾンへと駆り立てる。血は争えない。子は、会っていなくとも嫌っていようとも、親の背中を見て育つらしい。

アマゾンは過酷である。船上にいれば先住民の矢が飛んでくるし、川の中に逃げ込めばピラニアに襲われる。先住民の中には食人族もいる。“食人”という言葉だけで野蛮だと感じるのが当時も今も一般的な感性かもしれないが、フォーセットはそうではなかった。彼らには「死んだ仲間の肉を食べることで魂を体内に取り込む」という宗教的な意義がある。食人という行為もまた未知である。未知を受け容れる開かれた心が、彼を冒険家たらしめたのだろう。

ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え

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