オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『オクジャ/okja』

Okja, 121min

監督:ポン・ジュノ 出演:ティルダ・スウィントンポール・ダノ

★★★

概要

韓国人少女と大きな豚がニューヨークに行く話。

短評

ポン・ジュノ監督のNetflixオリジナル映画。本作辺りからNetflixオリジナル映画というジャンルが話題になり、定着してきた気がする。監督、キャスト、内容の全てが劇場用映画に見劣りしないものである。ポン・ジュノの新作『パラサイト』も楽しみですね。

あらすじ

『豚がいた教室』で「この豚は育てるだけで食べません」と生徒に教えていたがために巻き起こった騒動のような話である。食糧危機を救うために遺伝子操作で開発されたスーパー・ピッグ。ミジャと祖父はその内の一頭をオクジャと名付け、韓国の山中で放し飼いにしていたが、立派に育ったオクジャは、(モンサントのような)開発元のグローバル企業ミランドに連れ去られてしまう。「そんなこと聞いてないぞ!」と激怒したミジャがオクジャを救うために奔走する話である。

感想

オクジャはブタというよりも、大きさ見た目ともにカバである。ブタのように可愛くはない。ところで、カバって美味しいの?

食肉産業や動物保護団体への風刺であること自体はかなりストレートで分かりやすいが、その意図するところは分かりづらい。と言うよりも分からなかった。屠殺のグロテスクさを見せるだけであればドキュメンタリーには決して敵わないし、そこまでとの対比を活かすのであれば可愛くないオクジャは家畜感が強い。本作のように一種のファンタジーにした意味は何なのだろう。食肉という行為そのものを批判しているのか、それとも標的は遺伝子操作なのか。ちょっと狙いが掴みづらかった。

世界中に子豚をバラ撒いた上で、その中の最も優秀な種だけをアメリカ本国に回収するという手法は、人材獲得競争におけるアメリカにやり方を見ているようだった。もっともこちらは本人たちが成功を望んでアメリカに行くという大きな違いがある。そして、人材を集める側が『動物農場』の豚たちである。

まさかミジャがアクション・スター顔負けの冒険活劇を演じるとは思わなかった。彼女はか弱い少女ではなく屈強な野生児である。体当たりでガラスをぶち破り、走行中のトラックに飛び乗り、迫り来るトンネルの天井をかわす。少女と動物の友情譚にグロテスクな風刺を加えるだけでなく、エンタメとしてもしっかり盛り上げていた。

客室係に扮してホテルの一室に潜入していたポール・ダノが、悠々と梯子を降りて着替えながら歩いていくシーンが格好よかった。彼もジョーカーを演じればハマるのではないかと三十郎氏は密かに考えている(弱そうだけれど)。ジェイク・ジレンホールは、演技よりも少年のような短い丈のズボンが気持ち悪かった。

ラストはかなり強引に感じた。あの金の豚の重さは何グラムなのだろう。(そんなにないと思うが)仮に1kgあったとしても、オクジャの代金と輸送費をペイできるとは思えない。それはフィクションなのでどうでもよいとして、製品の肉ではなく、生きた豚を自身のコントロールの及ばない場所に出してしまうのは、どう考えても利敵行為である。

Okja: The Art and Making of the Film

Okja: The Art and Making of the Film