オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『オレの獲物はビンラディン』

Army of One, 92min

監督:ラリー・チャールズ 出演:ニコラス・ケイジ

★★★

概要

神託を受けた愛国者パキスタンビンラディンを探しに行く話。

短評

ニコラス・ケイジってこんな甲高い声を出せるのか……。いつも格好いいはずの主人公を格好悪く演じているニコラス・ケイジが、全く格好よくないイカれたおっさんを活き活きと演じている。やはりこの人はヒーローを演じようとさえしなければ抜群の実力を発揮する俳優なのだ。

あらすじ

透析の必要な腎臓病の患者ゲイリー・フォークナー(ニコラス・ケイジ)。彼はパートタイムの建築労働者だが、フルタイムの愛国者である。ある日の透析中に神から「ビンラディンを生け捕りにせよ」との命令を受けたフォークナーは、(テレビ通販で買った)日本刀を携えて単身パキスタンに乗り込むのであった。頭は足りないが行動力だけは無駄にある。

感想

どこまでが本当なのか分からない一応の実話だそうである。エンドロールに登場する本人の映像と比較すると、ニコラス・ケイジのブッ飛んだ演技はそれほど現実から離れてはいないらしい。それどころかそっくりである。彼は紛れもない変人だし、関わり合いにはなりたくないが、その一方で良い人としての側面も持ち合わせている。迷惑極まりない愛すべき阿呆である。

パキスタンへの道のりは困難を極める。フォークナーは、まずヨットでパキスタンへ航海し、その船でビンラディンを連れ帰ろうと画策する。しかし、船を買う金が無い。ラスベガスで購入資金を失い、医者から騙し取った1000ドルで買ったボロ船はメキシコへ漂着。最初の計画が頓挫すると、イスラエルの山からハンググライダーパキスタンへ飛ぼうとする。これも墜落して失敗。最終的には、ちゃんとビザを取得して正規ルートパキスタンへ。

「最初からそうしろよ!」と言いたいところだが、第一の作戦はビンラディンを捕獲した後のことだけを考えていて、第二の作戦はビンラディンを捕獲することだけを考えている。第三の作戦で初めてビンラディンを捕獲する前の段階に思い至るのである。ド級の阿呆が、失敗を基に思考経路を修正していく順番がこれだと考えれば興味深い。

パキスタンに到着してからもほとんど観光を満喫しているだけでビンラディンなんて(フォークナーの脳内以外には)何処にも登場しないのだが、本当に登場すればコメディ映画以外の形で彼について知ることになっていただろう。ここでもファックナーと現地人たちのやり取りがコミカルで、周りは誰も相手にしていないのに本人だけは本気そのもの、それでも何故か愛されるという構図が可笑しいのである。

透析の必要な患者が透析をサボると幻覚が現れるそうである。ゲイリーの神託もこの線が濃厚だが、神託が現れた時にはサボっていないし、映画化による利益で腎臓を買った彼は再度パキスタン行きを目論んでいる。病気はあまり関係ないのかもしれない。もっともこの話だってどこまでが本当なのか分からないのだが。

 

*追記

Netflixで観た直後にプライムビデオに追加されると非常に悔しい。