オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『アポストル 復讐の掟』

Apostle, 130min

監督:ギャレス・エヴァンス 出演:ダン・スティーヴンス、ルーシー・ボイントン

★★★

概要

シスコンお兄ちゃんが愛しの妹をカルト教団から救出する話。

短評

オカルトがそれほどオカルトしていない辺りにバランスの良さを感じさせるNetflixオリジナルのホラー映画。カルト教団が信奉する神は確かに存在し登場するが、その能力がなんともミニマムなものである。そのため、悪魔との戦い的な遠い世界のありがちな展開に陥らず、邪教を巡るホラーと、主人公vs教団や教団内部の権力闘争が、スリリングかつグロテスクに描かれている。

あらすじ

キリスト教の聖職者トーマス(ダン・スティーヴンス。圧倒的イケメン。彼が不細工なら気持ち悪いシスコン扱いされているキャラ)が、身代金目的で誘拐された妹のジェニファー(エレン・リース)を救出するため、信者を装ってカルト教団“エリスデン”の支配する孤島へ潜入する。島で妹を捜索するトーマスだったが、島には教団の信奉する女神が実在することが明らかになる。

感想

女神(シャロンモーガン)は、女神と言うよりも化け物である。彼女は、血を飲むことで不毛の大地に植物を繁殖させられるという凄いけれどショボい能力の持ち主である。しかも彼女は自分で狩りをするわけでもなく、預言者たちに餌付けされている半ニート的存在である。「世界を滅ぼす」とか「人類を救済する」とか言い出さない辺りに、土着信仰的な邪教の神という趣があって気に入った。三十郎氏は悪魔とか幽霊が出てくると、そこから先はビビれるかどうかだけが重要で、話の展開に興味を失いがちなのだが、このくらいの雑魚邪神だと、存在や能力の謎に興味を持って見られた。

信者はともかく預言者たちは女神の能力を理解した上で利用している割と理性的な存在なので、カルト教団という言葉から期待されるような過度な狂気が描かれることはない。これは少々肩透かし気味とも言えるが、オカルト要素は潜入スリラーの不気味な背景として無理なく用いられていた印象である。

女神が女神として登場する前に、徘徊老婆としていかにも怪しげに登場しているので、もうちょっと臭わせ方を工夫するか引っ張るかしてほしかった。

グロ描写はかなり強烈。特に処刑台は最高で、台に寝かせた人間の両手足と頭を万力で固定し(頭を固定する時に少しグシャっとなって、画面にヒビが入り赤色が滲む演出が良い)、頭頂部から脳みそを手動ドリルでくり抜く。ギョエーッ!である。ドリルが入っていくシーンは足側からのアングルで、身体がピクピクと動くだけなのが残念だったが、くり抜いた痕は見せてくれるし、なにより処刑台の機構が悪趣味過ぎて素敵である。他にも、女神のお世話係の仮面の男(結局正体が分からなかったけど何者だったのだろう?)が餌作りのために使用している旧型ミートグラインダーも素敵である。こちらは手が飲み込まれるだけなのが不満だったので、最後まで使うところを見せてほしかった。後は、串刺しも好きだった。

スクリーム・クイーンではなかったがホラー映画に美女は付き物で、預言者の娘アンドレア役のルーシー・ボイントン(なんて素敵な響き!)と、深夜に家を抜け出して孕んだ末に父親に殺されるフィオン役のクリスティン・フロセスが綺麗だった。