オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『なりすましアサシン』

True Memoirs of an International Assassin, 98min

監督:ジェフ・ワドロウ 出演:ケヴィン・ジェームズ、ズライ・エナオ

★★★

概要

殺し屋が主人公の小説を書いたら本物の殺し屋だと勘違いされる話。

短評

Netflixオリジナルのアクション・コメディ映画。主演のケヴィン・ジェームズは、アダム・サンドラーウィル・フェレルたちのスターと比べると影が薄いが、阿呆なコメディ映画でよく見かける一人である。三十郎氏には彼が主演した『モールコップ』の印象が強く、巨漢の割に気が弱い阿呆という同じようなキャラクターが本作でもハマっていた。

あらすじ

自分を主人公、お隣に住む美女をヒロインに妄想しながらアクション大作のような小説を執筆中のキモいおっさんサム・ラーソン(ケヴィン・ジェームズ)。完成させた小説を出版社に応募して不採用を食らうも、原稿を読んだとある出版社が電子書籍と出版してくれると言う。ところが、出版社はサムの小説をノンフィクションとして出版し……。

感想

サムが(妄想の中で)敵を相手に大立ち回りを演じるシーンが、学校がテロリストに襲撃された時にどうするかを考えている中学生を彷彿とさせて、「アイタタタ……」である。妄想は創造の源泉だが、他人の未完成の妄想を見せられると、何故かこちらが恥ずかしくなってくる。しかし、妄想の中とは言え、太ったおっさんが意外にもキレのある動きを見せるのでちょっと悔しかったりする。サムは実際に射撃も上手い。ヒーロー的妄想を楽しむためにトレーニングに勤しむとは、なかなかの努力家である。イタいことに変わりはないが。

伝説の殺し屋ゴーストと勘違いされたサムはベネズエラに拉致され、ゲリラ・マフィア・大統領府の三つ巴の政治抗争に巻き込まれる。“拉致される→仕事を強要される→標的にも仕事を強要される”が循環して三つ巴なのか三すくみなのかよく分からない状態になる経緯が楽しい。

サムはどう見ても伝説の殺し屋ではないのだが、殺し屋に関する知識だけは豊富なので、場当たり的に窮地を脱していく。サムはガイ・リッチー版の『シャーロック・ホームズ』のように、戦う前に展開を完璧にシミュレートしてみせる。『シャーロック・ホームズ』を観ていれば「おっ、これは!」と期待するのだが、彼はホームズでもロバート・ダウニー・Jrでもないので、妄想だけで現実に動くことはできないというオチがついてしっかりと笑わせてくれる。

マフィアのボス・マソヴィッチが、ジーマの在庫を切らせたという理由で長年仕えた部下を射殺する。この時「ジーマを日本以外でも販売するべき」という台詞があり、気になったので調べてみると、元々はアメリカのクアーズが製造・販売していたが、本国では2008年に生産終了したのだとか。日本で販売されているのは、モルソン・クアーズ・ジャパンという会社のライセンス品らしい。バンコクでも見かけたような気がするのだが、どうだっただろう。

一般人のおっさんサムの代わりに獅子奮迅の活躍を見せるローザ(ズライ・エナオ)が、セクシーな南米美女である。三十郎氏も妄想をするが、美女を助けた時のキメ台詞は考えたことはなかった。万が一の事態に備えて考えておくのも悪くない。しかし、ちょっと考えてみるだけで自分の気持ち悪さに羞恥心がこみ上げてきた。