オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ランボー』

First Blood, 93min

監督:テッド・コッチェフ 出演:シルヴェスター・スタローンブライアン・デネヒー

★★★

概要

ベトナム帰還兵が警察から逃げ回る話。

短評

内容の大半は純然たるアクション映画なのだが、最初と最後のシーンが戦いに理由と意味を与えている。ドンパチメインのアクション映画と現実の社会的背景のバランスが取れた稀有な例である。『ロッキー』でアメリカン・ニューシネマの潮流を打ち破ったスタローンの次の当たり役が、アメリカン・ニューシネマ的なキャラクターというのも興味深い。

あらすじ

ランボーシルヴェスター・スタローン)がアメリカに帰国してベトナム時代の戦友を訪ねると、戦友は癌で死去していたことが判明する。食事を取ろうと町をウロついていると、保安官のティーズルに「お前は面倒を起こしそうだな」と声を掛けられ、町の外まで車で送られる。それでも街へ戻ろうとするランボーティーズルは浮浪罪で逮捕。警察署内で拷問に近い嫌がらせを受けたランボーベトナム時代のトラウマを思い出し、思わず警察官たちを殴り飛ばして脱走する。たった一人の戦いの幕開けである。彼は元グリーン・ベレーの精鋭なのだ(“最強のおっさん”映画みたいな展開である)。

感想

ランボーの境遇からベトナム戦争の特異性がよく分かる。国のために戦ってきたはずの帰還兵が英雄としてではなく、邪険に扱われている。これは敗北という結果もさることながら、戦争への参加自体がそもそも間違いだった認識によるところが大きい。逆説的になるが、この認識が戦争を敗北へと導いたとも言える。帰還兵は戦場で負った心の傷に加えて故郷での扱いという二重の苦しみを味わうことを強いられる。彼らには物理的・心理的に行き場がないのだ。トラウトマンへの悲痛な告白は、戦争が終わっていないことを物語っている。

映画序盤のランボーに対して「どうしてこんなに意固地になるのだろう?もっと事を穏便に収めればよいのに」と思ったのだが、よく考えれば彼は何も悪いことはしていない。理不尽な扱いを受けるいわれはどこにもない。これは自分が飼い慣らされているなと反省した。日本だと軽犯罪法がこれに該当するが、浮浪罪のような権力による恣意的な運用が可能な法律に対してもっと敏感にならなくてはいけない。

ランボーは敵の殺害を目的としていないので、ガソリンスタンドの爆破以外はアクション映画としてはかなり静かである。ランボーは最小の資源で最大の成果を上げる。一方の警察は州警察や州兵を導入して200人の大部隊なのに、何も出来ない。これは間違いなくベトナムアメリカ軍が喫した敗北の再現だろう。カーツ大佐の「少数精鋭で勝てる」理論は正しい。

人間相手には冷静沈着で無敵のランボーだったが、ネズミ相手には焦っていて微笑ましかった。

一人だけの軍隊 ランボー (ハヤカワ文庫)

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