オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『EVA<エヴァ>』

Eva, 94min

監督:キケ・マイーリュ 出演:ダニエル・ブリュール、クラウディア・ヴェガ

★★

概要

ロボット研究者が子供型ロボットを開発する話。

短評

スペインのSF映画……かと思いきや、SF要素はかなり薄い。『ブレードランナー』のようなに人間の定義について観客に問い掛ける壮大さはないし、最近観た『アンキャニー 不気味の谷』のようにイミテーションゲームもどきをするわけでもない。美少女を利用してそれらの要素をマイルドに描くわけでもない。そんな期待に反して、仕事で故郷に戻ってきた科学者が昔の恋人とゴタゴタする様子を見せられてしまった。物足りない、というのが率直な感想である。

あらすじ

Amazonの紹介文に“美少女アンドロイドSF映画”と書いてあるのでここにも書いてしまうが、エヴァ(クラウディア・ヴェガ)はアンドロイドである。これは一応どんでん返し的なネタなのだが、途中で「どうせそんなことだろう」と察せられるので驚きはない。主人公アレックス(ダニエル・ブリュール)は子供型ロボットの開発のために故郷に戻ってきたのに、子供型ロボットは既に完成しているのである。それもアレックスが騙される程のクオリティで。

感想

何かを研究する時には、先ずその分野の先行研究をあたるものである。「新事実を発見したぞ!」と一人喜んでも、実は当人が知らなかっただけで、それは旧知の事実かもしれない。エヴァのプログラムに欠陥があり、アレックスが完璧なプログラムを目指すのならば、エヴァの欠陥を理解した上で研究を進めるのが道理だろう。それなのにアレックスを招聘したジュリアも、かつてアレックスが投げ出した研究であるエヴァを完成させたラナ(マルタ・エトゥラ)も、皆その事を黙っている。絶好の研究材料を隠して研究させるとは。この研究者コミュニティは一体どうなっているのか。彼らは何を目指しているのか。

近未来的なガジェットやアーティスティックなプログラミング風景の魅力、SF的なテーマが取り除かれた時、そこに残るのは、ありがちなロボットへの感情移入と寝取り寝取られのドタバタだけである。アレックスが辛抱堪らずラナにキスし、それを目撃した夫のダヴィドに殴られる。「そりゃあ人妻にキスすれば殴られもするだろう」と納得の展開なのだが、アレックスが殴り返すので「お前は何がしたいんだ……罪悪感はないのか……」と混乱した。アレックスはエヴァから「変質者」と呼ばれているが、彼はロリコンとしてもストーカーとしても立派な変質者である。

目を閉じたエヴァの瞳に映る風景には、パパ(アレックス)とママ(ラナ)がいるが、君のパパはダヴィドだったのでは?妻は寝取られた上に死亡し、おまけに娘と思っていた相手は簡単に新しいパパに乗り換える。あまりにもダヴィドが気の毒である。

EVA<エヴァ>(字幕版)

EVA<エヴァ>(字幕版)