オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『エマニエル夫人』

Emmanuelle, 94min

監督:ジュスト・ジャカン 出演:シルビア・クリステル、クリスティーヌ・ボワッソン

★★★

概要

エマニエル夫人が性に目覚める話。

短評

全ての元青少年にとって特別に淫靡な響きを持つエマニエル夫人(世界に桃色が溢れた今の青少年にはどうなのだろう)。原作を読んだこともなく、映画を観たこともなく、内容を全く知らなくても、“エマニエル夫人”という響きを耳にするだけで何故だか股間がときめいてしまう。彼女がどんな女性なのか知らなくても、彼女は桃色の象徴なのだ。こんな桃色映画を配信するなんて「Amazonやるじゃん!」と感心したら、1977年にテレ朝が日曜洋画劇場で放送していた。寛容な、いや、奔放な時代があったのものだ。

あらすじ

夫の後を追ってタイに飛んだエマニエル夫人(シルビア・クリステル)。夫人と言うとマダムなイメージがあるが、エマニエルはまだ若い。夫が初めての相手という奥手な女性である。そんな彼女が、「真の女になるためには愛人を持つ頃よ」とのたまうマセた少女マリアンジュ(クリスティーヌ・ボワッソン)や、エロの求道者的老人マリオの導きにより、自らの性を開拓する話である。

感想

「パリでは夫以外としたことないの」と上品ぶるエマニエルだが、なんのことはない。彼女は最初から立派な痴女である。タイへのフライト中に機内で乗客を誘惑し客席で一戦交えたかと思えば、それを目撃した他の乗客ともトイレで一戦。CAは何をしているのか。とにかく最初から最後まで性に満ち溢れている映画である。タイに到着して夫と交われば、その様子を覗いた使用人たちが交わる。エマニエルがスカッシュをプレイすれば対戦相手とレズプレイするし、彼女を訪ねてきたマリアンジュがポール・ニューマンを見ながら自慰を始めれば彼女も一緒に自慰に耽る。退廃的な芸術性なんて関係ない。どいつもこいつも頭の中が桃色過ぎて笑えるソフトポルノである。少年時代ならば、何か見てはいけないものを見ているような背徳感を味わえただろうが、今となっては半分コントである。

エロティシズムについて偉そうに講釈を垂れる割に自分は決して交わらず、現地人に竿役を任せっきりのマリオ翁。結局最後までヤラずじまいなのは、ご自身のご自身が役に立たないのでは……。快感を高めるためにお薬に頼っているのも凡人っぽさがある。それとも未熟な三十郎氏には彼の奥深さが理解できないだけなのか。……理解できなくてもいいや。「真の愛とは、オーガニズムではなく勃起」と言うのなら、せめて堂々と機能するところを見せつければ少しは説得力が出るだろうに。この辺りは異人種と交わることの背徳が、性の解放や開拓にとって重要なファクターなのだろう。

エマニエルに対して「好きにしていいよ」「彼女を私だけのものにしたくない」と言う夫が、エマニエルが実際に外泊したり他の男と交わると嫉妬しているのが面白かった。妻に対して性にオープンであってほしいと願うのは、結局自分が色々と楽しみたいだけのだろう。

ラストシーンはマリオの調教により覚醒したエマニエルが妖艶に変貌したように受け取れるが、化粧が濃くなっただけで却って魅力が減じていたように思う。外見の話はともかく、これでエマニエルは性の甘ちゃんではなくなったわけである。果たして続編ではどのように開花した姿を披露してくれるのだろうか。

エマニエル夫人 (二見文庫)

エマニエル夫人 (二見文庫)