オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゾンビ・サファリパーク』

The Rezort, 90min

監督:スティーヴ・バーカー 出演:ジェシカ・デ・ゴウエレン・リース

★★★

概要

世界で唯一のゾンビ狩りを楽しめるリゾート施設へようこそ。

短評

ゾンビ映画好きならば誰しも一度は考えたことがあるだろう。ゾンビを殺してみたい!ゾンビは既に死んでいるのだから“殺す”のは無理なのでは?という言葉の定義はとりあえず無視して、そんな夢を叶えられるのが、“The Rezort”である。

あらすじ

20億人に上る犠牲者を出した人類とゾンビの世界大戦から10年。とある孤島にゾンビの生き残り(?)が発見され、合法的にゾンビ狩りができるように開発されたリゾート施設が本作の舞台である。なんて素敵な施設だろうか!しかし、客がゾンビ狩りを楽しむだけでは映画にならない。婚約者に逃げられた女を装って施設に潜入した、ゾンビの権利向上を目指す団体の女がセキュリティ・システムを破壊し、ゾンビたちが解き放たれる。

感想

ゾンビ狩りができる施設という設定は最高に魅力的だが、ゾンビが解き放たれれば普通のゾンビ映画である。施設では、平原で自由に動くゾンビを高台から狙い撃つか、廃墟ゾーンで拘束されたゾンビを撃つかの二種類の楽しみ方ができる。自分でやると楽しいのだろうが、見ているだけだとイージーモード過ぎて退屈である。ショッピング・モールゾーンとか釘バットが使えるエリアがあるといいのになあ……なんて思っている内に話が動き出す。

低予算のバカ映画を期待していたが、ゾンビの特殊メイクはレベルが高いし、施設の送迎車にはちゃんと「Z」のロゴがプリントされていたりして、安っぽさは感じない。笑えるタイプの映画ではないが、社会風刺を含む意外なほどのハイレベルさを見せるのである。

生き残ったゾンビを好き放題に殺していると、いつかは在庫がなくなってしまう。リゾートの運営には安定したゾンビの供給が欠かせない。そこでご登場いただくのが難民である。この展開は二つの意味で皮肉が効いていると思った。一つは、難民を支援する人道団体が実は難民をゾンビ化しているという事実が、人道の名に隠れて全てをビジネス化し逆に食い物にするような現代社会を象徴している。もう一つは、本作を製作したイギリス人には、難民が押し寄せるゾンビのように見えているのだと考えれば、Brexitのことを思い出さずにはいられない。

意思を持っているように見えるゾンビがいてこれはゾンビらしくないと思ったのだが、特に伏線として回収されたわけでもなかったので、ゾンビという“理解しえない存在”もまた自分を写す鏡になっているのだろうか。

正直なところ、もっとサファリパーク的な要素をもっと活かしてほしかったと思う。施設の裏側にある実態は面白かったが、ゾンビとの戦いについては普通のゾンビ映画との違いをつくれていなかった。