オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』

Lo chiamavano Jeeg Robot(They Call Me Jeeg), 118min

監督:ガブリエーレ・マイネッティ 出演:クラウディオ・サンタマリア、イレニア・パストレッリ

★★★

概要

ポルノ鑑賞しながらヨーグルトを食べるおっさんが放射能の影響で超人化する話。

短評

イタリアのヒーロー映画である。どこの国も手を変え品を変えヒーロー映画を製作しているが、ハリウッド以外は迫力あるアクションシーンに頼れない分だけテンプレ化されておらず、映画の各所にお国柄が出ていて新鮮だったりする。三十郎氏は、本作に出会うまで『鋼鉄ジーグ』のタイトルすら知らなかったが、イタリア人の観客も大半は同じだろうから、見方としてはフラットになってよかったのではないかと思う。劇中に登場する『鋼鉄ジーグ』関連の言葉はさっぱり意味不明だが、主人公もさっぱり分かっていないので問題ない。

あらすじ

腕時計を盗んで警察から逃走中のおっさんエンツォが主人公である。追い詰められた彼は川の中に逃げ込むが、そこには放射性廃棄物の缶が沈んであり、缶に足をついたエンツォが穴を開けてしまう。廃棄物をたっぷりと浴びたエンツォは、黒いゲロを吐くなど体調を崩すが、体調が戻るとある切っ掛けから自分が超人的能力を身に付けていることに気付く。

感想

劇中でカモッラについての言及があるのでそういう理由なのかもしれないが、その辺の川に放射性廃棄物が沈んでいるのは怖すぎる。それも簡単に穴が開くような缶が。しかし、その影響で超人化するという設定に「放射能なら何でもあり」というB級的な雑さを感じて微笑ましかったりもする。ピーター・パーカーと同じく能力を手に入れる過程は何でもよくて、能力を手にした者がどう行動するのかが大切なのだろう。

どうして彼が鋼鉄ジーグなのかと言えば、商売仲間のセルジョが仕事中に死亡し、その娘アレッシア(イレニア・パストレッリハンナ・マリーに似ている)が熱狂的な鋼鉄ジーグファンで、彼女をチンピラどもから助けたエンツォを鋼鉄ジーグの主人公ヒロシと呼ぶからである。彼女は、現実とアニメの世界を混同しているのを無邪気で可愛いと言えるような年齢ではないのだが、実父から性的虐待を受けた過去があるらしく、妄想の世界へ逃げ込んでいるという事情があるらしい。ガードがユルユルの抜けたキャラに反して重い設定である(エンツォの部屋では激しく拒絶するも更衣室では交わるし、ポルノは普通に見ているので、どの程度のトラウマなのかよく分からない)。それにしてもアニメのチョイスが渋い。エンツォとアレッシアの関係の元ネタは『道』のザンパノとジェルソミーナだろう。

ヒーローが普通のおっさんなら、ヴィランのシンガロもまた普通の人である(後にエンツォを脅して放射性廃棄物で同じように超人化する)。彼の行動の動機が現代的で面白かった。彼は歌手崩れのチンピラのボスで、ATM泥棒などの動画がネットに出回り有名になっていく“スーパークリミナル”ことエンツォが羨ましくて仕方がない。嫉妬である。彼がエンツォよりも目立ちたいがために事件を起こそうとするので話が大きくなりかけるが、基本的には内輪揉めレベルのしょうもない話なのである。ここが逆にリアルで、エンツォが正義のために行動するのも使命感というよりも愛する女のためという最小単位のヒーロー譚が成立している。

シンガロが男にしか見えないオカマと交わっているシーンがあるのだが、これは同性愛の一種なのだろうか。男の娘やふたなりといったジャンルも同性愛なのか異性愛なのか分かりづらいが、愛好者や交わっている本人はどちらだと認識しているのだろう。エンツォがポルノ鑑賞しながらヨーグルトを食べているというのも意味深である。三十郎氏は、桃色映像を見ながらヨーグルトは嫌かなあ……。

GRAND ACTION BIGSIZE MODEL 鋼鉄ジーグ 全高21cm ダイキャスト&ABS製 塗装済み 完成品 可動フィギュア

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