オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ターミネーター2』

Terminator 2: Judgment Day, 137min

監督:ジェームズ・キャメロン 出演:アーノルド・シュワルツェネッガーリンダ・ハミルトン

他:アカデミー賞メイクアップ賞(スタン・ウィンストン他)、視覚効果賞(デニス・ミューレン他)、音響賞(トム・ジョンソン他)、音響編集賞(ゲイリー・ライドストロム他)

★★★★★

概要

ボブおじさんと女戦士が未来を変える話。

短評

恐怖の権化が正義の味方に転身して成功した映画は他にあるのだろうか。前作よりも少し身体が萎んで人間らしくなったシュワちゃんが、人間から学び人間臭くなるターミネーターを演じている。思い出補正が強いかと心配だったが、やっぱり今観ても面白かった。

感想

前作の頃とは異なり既に人気スターになっていたシュワちゃんを主役に据えたいという事情と、前作の悪役が今回はヒーローという意外性を成立させたのは、何と言っても新しい悪役T-1000(ロバート・パトリック)の絶望的な恐ろしさのおかげだろう。怖かった敵よりも更に怖い敵が現れる。これがシュワちゃんよりも弱そうならば、「前の敵の方が強そうだったなあ……」で終わりである。

ロバート・パトリックの無表情ぶりも恐ろしいが、やはり液体金属である。初めて観た時には驚愕したし、今も古さは感じない。どんな攻撃を受けようとすぐに復元してしまう姿を見れば、「こいつ、どうやったら倒せるんだよ……」と諦めを覚えるレベルである。液体金属の形態変化や復元能力という設定もさることながら、その活かし方が上手い。柵を通り抜けたり、エレベーターをこじ開けたりと、液体金属ならでは魅せ方が考え抜かれている。液体窒素で凍らせた上で粉々に破壊し、それでも復元してしまうなんて展開は天才的発想である。液体金属に関する描写で、あのシーンを超える表現は今後出てこないのではないか。

T-1000ばかりでなくシュワちゃん演じるT-800ももちろん格好いい。ハーレーに跨り、ショットガンをくるりと回転させてリロードする姿には皆が憧れたはずである(スピンコッキングというテクニックらしい。使用していたのはウィンチェスターM1887)。本作のシュワちゃんにはユーモアがあり、感情を持たないはずの機械がどうしようもなく愛おしく感じる。ニヤリと笑うだけで可笑しいのはズルい。ラストも機械的に合理的な決断を下しているだけなのだろうが(ジョンへ掛けるあの言葉すら彼に納得させるための戦術的判断という可能性もあるが、やはり機械に感情が芽生えたということにしておきたい)、こちらはすっかり彼のことが好きになっているので、無上の寂しさと感動を味わうのである。

続編としての話の進め方も文句なしだろう。前作では、ターミネーターにひたすら追われ、撃退するのが精一杯だった。対する本作では、30億人の命を奪った審判の日を回避するため反転攻勢に出る。考え方によっては本作の存在自体も蛇足かもしれないが、前作で終わらなかった物語にけりをつける本当に綺麗な締め括り方である。本当に綺麗だったのになぁ……。

最新作の公開前に本作を配信するなんてAmazonは気が利いている。復習バッチリで気分は盛り上がったが、劇場に足を運ぶのかは正直まだ迷っている。いくらリンダ・ハミルトンが復帰したところで、エドワード・ファーロングターミネーターのいない世界で平和ボケしたジョンしか演じられないだろうし、そもそもどんな形であれ再びターミネーターが現れた時点で本作の涙のラストシーンは台無しなのである。どうせ台無しにしてしまうのなら、「どうやっても審判の日は回避不可能」という『3』の展開で何の問題があったのか分からない。三十郎氏は、あれはあれで好きである。