オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『明日に向って撃て!』

Butch Cassidy and the Sundance Kid, 110min

監督:ジョージ・ロイ・ヒル 出演:ポール・ニューマンロバート・レッドフォード

他:アカデミー賞撮影賞(コンラッド・L・ホール)、脚本賞ウィリアム・ゴールドマン)、作曲賞(バート・バカラック)、歌曲賞『雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin' on My Head)』

★★★

概要

二人組の強盗が奪っては逃げて最後には死ぬ話。

短評

アメリカン・ニューシネマなので破滅的な結末に向かっていくが、基本的には愉快なバディ・ムービーである。ブッチ(ポール・ニューマン)とサンダンス(ロバート・レッドフォード)の軽妙な掛け合いが格好いい。一度は名前を耳にしたことがあるであろうサンダンス映画祭は、主催するロバート・レッドフォードが本作で演じたキャラクターの名前に由来するそうである。

あらすじ

名うてのアウトロー二人が、アメリカ国内で強盗を繰り返し、私立探偵(ピンカートン探偵社。『花殺し月の殺人』にも登場したが、FBIの発足までは全米最大の捜査機関だった)によるこれまでにない執拗な追跡を受けたことから南米ボリビアへと逃亡し、そこでも銀行強盗を繰り返して、最後は壮絶に散る話である。西部劇の主人公が逃げ続けるという逆転的構図や、社会に対して最後まで無軌道に抗い続ける男たちというモチーフがアメリカン・ニューシネマらしい、ジャンルを代表する一作である。

感想

物語の象徴的な転換点は二つあっただろうか。一つは、ブッチがボリビアに移住する前に自転車を捨てるシーン。彼がエッタを自分の前に乗せるという斬新なスタイルで乗りこなしてみせた自転車は、当時の最新の発明品だったらしい。つまり、新しいものや生き方に対応しようとせず、その可能性を自ら捨ててしまう彼の未来を暗示していると言えそうである。

もう一つは、ボリビアで護衛の仕事をしていた時に山賊に襲われるシーン。彼らは「その金は俺たちのものじゃないから困る」と口にする。それは、かつて彼らが列車強盗を働いたときに金庫番をしていたウッドコックの台詞そのものである。彼らが奪う者から奪われる者へと変わり、暴力の描写がそれまでのコミカルから一転してシリアスになっている。

強盗シーンが愉快だった。二度の列車強盗は、一度目に荷物を守ろうとして死にかけた気弱そうなウッドコックが立て続けに二度も襲われるという展開が笑えるし、金庫を開けるために車両もろとも吹っ飛ばしてしまうのも笑える。ボリビアでの銀行強盗は、スペイン語が話せないことによるちぐはぐさもさることながら、現場の音や台詞をミュートにして軽快なBGMだけを流して次々に成功させていく演出がオシャレだった。このオシャレ演出は後の『スティング』へと受け継がれただろうか。

映画の冒頭とボリビアへの移動でニ度セピア色になるのが印象的だが、どういった意図があるのだろう。

明日に向って撃て! (字幕版)