オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ラスト・リベンジ』

Dying of the Light, 93min

監督:ポール・シュレイダー 出演:ニコラス・ケイジアントン・イェルチン

★★

概要

呆けかけのおっさんが死にかけのおっさんに復讐する話。

短評

監督・脚本がポール・シュレイダーなのでそれっぽいことを言ったりもするが、基本的にはいつものニコラス・ケイジの映画である。パッケージには「ニコラス・ケイジ 引退」の文字が並んでいるが、もちろんニコラス・ケイジは引退していないので安心してほしい。彼はこれからもB級映画限定のスターであり続けるだろう。本作で彼が演じるエヴァン・レイクが引退を勧められ、「俺は現場に戻りたいのに!ちくしょー辞めてやる!」と単身(+1)、仇敵の元に乗り込む話である。

あらすじ

レイクは長年CIAで働いてきたベテラン捜査官である。彼はFTD(前頭側頭型認知症)という一種の認知症を患っている。残された時間は少ないという状況の中で、かつて彼を拷問したテロリスト、バニールの手掛かりを掴む。レイクは上司に捜査チームを派遣してくれと要請するものの却下。上司曰く「バニールも放っておけば死ぬんだし、別にいいでしょ」。そう、バニールはサラセミアという血液の病気を罹患しており、杖がなければ立つこともままならないのである。

感想

呆けおっさんvs重病おっさんという構図自体はコメディのようだが、特に笑えるようなところはなかった。かと言ってシリアスな映画として設定が活かされているわけでもないので、最終的にはニコラス・ケイジが敵をやっつけて終わりといういつもの映画である。病気の設定も、ニコラス・ケイジの手が震える演技がわざとらしかったりして、残念な出来に繋がっている。

本作に面白い点があるとすれば、斯々然々の末にレイクがバニールの元に辿り着き、二人が対峙するシーンである。レイクはバニールへの復讐のためにやって来たと思われたのだが、なんと殺さない。ここで交わされる会話に見られる自らの正義への揺らぎが、シュレイダーの描きたかったテーマなのではないかと察せられるが、いかんせん取ってつけた感は否めない。更に悪いことに、殺さずにバニール宅を後にしたレイクが襲撃され、結局戻ってきて殺すのである。先程の会話は認知症らしく無かったことにし、悪い奴を悪い奴と再設定してぶっ殺すというアメリカ全開モードに回帰する。

認知症を自覚したら、どんな理由があろうと車の運転はやめるべきだと思った。

ラスト・リベンジ(字幕版)

ラスト・リベンジ(字幕版)