オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『イコライザー2』

The Equalizer 2, 120min

監督:アントワン・フークア 出演:デンゼル・ワシントンメリッサ・レオ

★★★

概要

ホームセンターを辞めたマッコールさんが配車アプリの運転手になる話。

短評

“人助けおじさん”が“復讐おじさん”になってしまって、他の最強のおっさん映画との差別化に失敗した印象である。もちろん(押し付けがましいまでの)人助けもするのだが、本筋と繋がらないので設定のためだけにやっている感じだし、繋がったかと思えば一般市民を巻き込んでしまい、“迷惑なおじさん”になってしまっている。「前作よりも強い敵と」「前作とは違うことを」「更に大きなスケールで」という続編に対するありがちな要求を無理やり盛り込もうとして失敗したのではないか。とは言え、嵐の中の戦いやデンゼル・ワシントンの無駄のない動きは楽しめるので、前作の良い部分が失われた以外は普通に面白い映画である。

あらすじ

ホームセンターを辞めて、Uber的な配車アプリの運転手をしているマッコール(デンゼル・ワシントン)。彼は客の様子に気を配って、自分が介入できそうな事件を探しているのである。時にはトルコまで飛んで少女を取り返し、時にはタワマン住まいのおイタしたリーマンたちを痛めつける。そんな人助けライフを満喫するマッコールだったが、友人のスーザン(メリッサ・レオ)が殺害され、復讐の鬼と化すのであった。

感想

助けを求める人を助けるのではなく、自分で事件を探し回って介入するというのはギリギリのラインである。冒頭の父親に誘拐された少女奪還作戦も、少女がトルコ人の父からアメリカ人の母へというルート(トルコ→アメリカ、男→女の二つの要素で誤魔化している)なので許されている感があるが、父親側の事情も聞かずに一方的に痛めつけるのは独善的である。母親は「父親に娘を誘拐された」と主張しているらしいが、マッコールがやったことも立派な誘拐である。

兎にも角にも人助けがしたくてたまらないマッコールだが、本作の軸はまさかの復讐譚。事件の規模や性質を鑑みれば明らかにCIAの管轄だと思うのだが、友人の死を黙って見過ごすマッコールではない。この犯人が他の映画で裏切り者役の人なので、最初から「こいつ裏切り者じゃないの?」と思いながら観ていたらその通りだったのは拍子抜けした。前作と違うことをしたかったのは分かるのだが、事件の黒幕を倒したからと本人が満足しているだけでは、CIAは内部の問題を解決できないし、そもそも事件も公的には未解決のままだろう。真の黒幕を叩かないというのも、正義ではなく復讐のためだけに行動した感があって消化不良である。

嵐の中のラストバトルは迫力があった。CGで背景を描いている箇所もあるはずだが、現場では大型送風機を使用したのだろうか。草木の揺れ方が強いところと弱いところがあって気になった。

ホームセンターを辞めてしまったのは映画的には明らかにマイナスである。新たな職業が本筋に関係ない上、何より大人版ホーム・アローン的な楽しみが奪われてしまった。その場にあるものを工夫して使い無双するのがマッコールの魅力だったのに。

若い頃に生き別れた姉弟が老いてから再会した時に、すぐに相手がその人であると理解できるものなのだろうか。事前に聞かされていたとしても「本当にこいつなのか?」と疑問に思いそうなものだが……。

スーザンを襲ったバックパッカーがエレベーターでスーザンの降りる階のボタンを押したことからマッコールが異変を察するが、彼らがボタンを押す必然性はどこにもないはずである。降りる階が分かっていればボタンを押してあげずにはいられない良い奴らだったのか。

イコライザー2 (字幕版)

イコライザー2 (字幕版)