オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ヘル・レイザー』

Hellraiser, 93min

監督:クライヴ・バーカー 出演:ダグ・ブラッドレイ、アシュリー・ローレンス

★★★

概要

愛人のために血を求めた桃色熟女が使い捨てられる話。

短評

顔面釘バット状態のピンヘッドのビジュアルが有名なホラー映画である。単純に怖いというよりも幻想的な美しい演出が印象的で、ギレルモ・デル・トロが強い影響を受けていそうな感じである(チャタラーという魔道士がデル・トロ作品に出てきそうだった)。グロテスクな描写は手作り感が生々しく、実在感のある気持ち悪さを感じさせるのはこの時代の映像だと思う。

感想

謎の箱を入手したフランクが、正方形に並べた蝋燭の中に座って儀式を行っている序盤のシークエンス。炎の赤と闇の黒のコントラストが美しく、美術面でかなり期待できる映画であることが窺われる。他には、羽の舞う中で白い布に包まれた人体(?)から真っ赤な血が滲み出てくるカースティ(アシュリー・ローレンスウィノナ・ライダーに似ている。彼女のインスタではヨーダやストームトルーパーがピンヘッド化されていて面白い)の悪夢も美しい。

グロ描写の中ではフランクの肉体復活シークエンスが圧巻。ストップモーションを使って撮影したのだろうか。サム・ライミ版『死霊のはらわた』的な趣があって最高である。床が揺れ、釘が浮き、液体が滲み出て……と十分にタメてから、まだ肉のついていない腕が突き出す。徐々に肉体と呼べるレベルにまで身体が組成していく気持ち悪さが凄いことになっている。この第一段階の復活が素晴らしすぎるので、ある程度肉がついて残りは皮膚だけという状況になってからは物足りなく感じた。血は流れるし、虫は湧くしでスプラッター的にはほぼ申し分ない。

ジェイソンやフレディと同様にホラー映画のアイコンの一人となっているピンヘッドだが、本作においてはそこまで重要な仕事をしているわけではない(ジェイソンも一作目では溺死しただけである)。と言うよりも、一体何だったのかよく分からない。天国の悦楽と地獄の快楽が共存する扉の向こうの異世界への案内役を担う不思議な存在である(カルト宗教のような世界観)。その結果として物語に余白が残り、キャラクター先行でコメディ寄りのホラー映画になることを回避している。もっと彼らのことを知りたいので続編を観ようかと思うのだが、きっと後者のパターンになっているに違いない。彼らのキャラクターは、謎に包まれたままにしておくには魅力的過ぎるのである。

世界への導入役として魔道士(セノバイト)が存在しているが、話の大筋で重要なのはフランクとジュリアの不倫カップルである。フランクはジュリアの夫ラリーの兄であり、身内の寝取られ物語なのである。以前関係を持っていたフランクが、干からびた怪物の状態でジュリアの前に現れ、「俺だよ、フランクだよ。元に戻るには血が必要なんだ」と懇願する。(女性向けポルノのような)二人の情事を忘れられないジュリアがバーでナンパ待ちして、男を家に連れ込む。スリリングなような笑えるような。

ヘルレイザー (字幕版)

ヘルレイザー (字幕版)