オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ベリー・バッド・ウェディング』

Very Bad Things, 100min

監督:ピーター・バーク 出演:クリスチャン・スレーターキャメロン・ディアス

★★★

概要

バチェラー・パーティー中にストリッパーが死んじゃって困る話。

短評

悪ノリの超えてはいけないラインがどこにあるのか教えてくれる映画である。映画はフィクションなので笑っていられるが、同じくバチェラー・パーティーを扱った『ハングオーバー!』のように「しょうもないし酷過ぎるけれど楽しそう」と一種の憧れを抱くことはない。ドラッグをやっても物を破壊しても人に迷惑を掛けてもよい。それらは挽回可能である。詰まる所、人が死ぬと笑い話では済まない。どんなにバカをやっても、いつかは“楽しい思い出”になる。それが重要なのだ。

あらすじ

カイル(ジョン・ファヴロー)のバチェラー・パーティーのためにラスベガスを訪れた四人の男たち(メガネのキャラが二人いるのは紛らわしい)。酒を飲み、コカインを吸い、ギャンブルをやって盛り上がったところで部屋にストリッパーのティナが登場。生真面目なカイルはスペシャル・サービスを断ったが、興奮の極地に達したマイケルがバスルームで事に及ぶ。ところが対面立位で交わっている時に壁の出っ張りにティナを頭を打ち付けてしまい、事態は急転直下である。

感想

仮に人が死ぬことが“超えてはいけないライン”だとしても、取り返しのつかない事態を前にして阿呆男たちが慌てふためく様子自体は笑えるものである。ところが騒ぎを聞きつけて確認にやって来た警備員を口封じのために殺し、更には仲間やその家族からも死者が出たとなると、「これはコメディなのか?サイコキラーの話じゃないのか?」と少しついて行けなくなった。最初の殺人の後にも慌てふためくを超えてシリアスになり過ぎているところがある。ブラック・コメディであれば登場人物には深刻になり過ぎないでほしいものである。

そんな映画を救うのが新婦のローラ(キャメロン・ディアス)である。サイコキラーと化したボイド(クリスチャン・スレーター)にウンザリしていたら、完璧な結婚式を目指す彼女がボイドを超えるサイコ化を見せる。ここでようやく話が突き抜けてコメディに戻ってきた感じである。最初は「私ばっかりが結婚式の準備して、あんたはバチェラー・パーティーなんて気楽でいいわよね」的な口煩い女で鬱陶しかったのだが、彼女の完璧な結婚式への拘りが映画を救い、事態を更なる混乱に陥れるのである。

雰囲気がシリアスになっている状態の中では、チェーンソーで死体を分解しスーツケースにパッキングして砂漠に埋めに行くと、ユダヤ教徒のアダムが「バラバラのまま埋めるのは戒律違反だ」と騒ぎ出すシーンが面白かった。分解した死体を並べて組み立てたシュールさもあって、悪趣味が極まっている。

ジョン・ファヴローよりもクリスチャン・スレーターの方が人気と知名度があったのは理解できるが、後者が新郎に見えるパッケージの構図はいかがなものかと思う。それにしても、この頃のジョン・ファヴローは痩せている。『アイアンマン』の頃にはすっかり太っていた記憶があるのだが、約10年の間に何があったのだろうか。病気ではないかと疑うレベルだが、10年というのは太るには十分過ぎる期間か。