オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『青い性』

Premiers désirs(First Desires), 93min

監督:デヴィッド・ハミルトン 出演:エマニュエル・ベアール、モニカ・ブルーク

★★

概要

美少女がおっさんに恋する話。

短評

整形手術に失敗して特徴的過ぎる唇を手に入れる前の瑞々しいエマニュエル・ベアールを拝める一作。彼女は大抵の出演作で脱いでいるイメージがあるが、本作でも当然のように脱いでいる(脱いでいないシーンでもおっぱいが透けている)。邦題からして桃色な映画だが、中身も期待を裏切らず桃色である。ソフトタッチな官能小説の如き内容である(官能小説を読んだことはない)。本作には『青い性 処女喪失』というより扇情的な別タイトルもある。

あらすじ

休暇中にボートで冒険に乗り出し嵐に遭遇したキャロリーヌ、エレーヌ、ドロテの三人娘。キャロリーヌは漂着した砂浜でとある男に助けられる(濡れた服を脱がされて、海辺の小屋のベッドに寝かされている)。目を覚ましたキャロリーヌは残りの二人の再会し、島の探検している内にお屋敷で交わる夫婦の姿を覗き見る。「この男の人が私を助けてくれたんだわ」と勘違いしたキャロリーヌがおっさんに恋する話である。なお、実際に助けたのは地元のイケメン青年エチエンヌである。

感想

エマニュエル・ベアールはエレーヌ役で、三人娘の二番手ポジション。主人公キャロリーヌを演じるのはモニカ・ブルークで、本作の他には一作品しか出演がなく謎に包まれている。三人娘は皆脱いでいるし、おっさんの妻も脱いでいる。

夫婦の情事を目撃したキャロリーヌが、おっさんに愛撫される妻を想像しながらビーチで一人でする場面を筆頭に肌色率が高く、桃色目的な助平親父や思春期の少年が裏切られることはない。三十郎氏は高解像度の質感フェチなのだが、適度に古いフィルムの映像がフワッとした幻想的な感じを醸し出しおり、裸で横たわるキャロリーヌは絵画のような美しさだった。

美しいエロス以外の部分は酷い。特にストーリーは、既婚者のおっさんとキャロリーヌがどうやって交わるに至るのかを丹念に描くことはなく、飛行機事故で妻が死んだことを知って落ち込むおっさんにキャロリーヌが迫って事に至るという桃色的ご都合主義だった(しかもそのまま映画が終わる)。そもそもキャロリーヌのおっさんへの想いは勘違いが出発点のまま正されないし、おっさんも演奏旅行へ出掛けるピアニストの妻に対して「やだやだ、いかないでぇ」と拗ねているような気持ち悪さである。こんなおっさんに処女を捧げるなんて……。しかもおっさんは無職である。億万長者だけど。

エレーヌがキャロリーヌに対して「女には三つの初めてがある。一つ目は夢中の恋、二つ目は苦しみ、三つ目は女の悦び」と官能小説みたいな話をする。三つ目に続く言葉は、それこそ本当に官能小説に出てきそうなものなので、三十郎氏にフランス語が理解できたならもっと桃色な気分になれただろう。

日本語における青という色は未熟を意味し(果物や野菜の緑と同義)、思春期の性を描く作品に用いられることが多い。イタリアの桃色コメディ『青い体験』の邦題にも青という言葉が用いられるが、本作と同様に原題には青という意味の言葉はない。“思春期の性=青”という等式は日本だけのものなのだろうか。それとも海外にも赤やピンク以外の色で性を表現する文化はあるのか。

青い性 HDリマスター版 [DVD]

青い性 HDリマスター版 [DVD]