オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『That's Not Me ザッツ・ノット・ミー』

That's Not Me, 85min

監督:グレゴリー・エルドシュタイン 出演:アリス・ファウルシェール、イザベル・ルーカス

★★★

概要

双子の妹の影に隠れる女優志望の女の話。

短評

オーストラリアのコメディ映画。主人公ポリー(Alice Foulcher。インスタは非公開)が見ちゃいられないくらいに痛々しいのだが、そんな姉を差し置いてスター街道を邁進する妹エイミーに間違われ続ける姿が気の毒だったりして、割と好感を持って観られた(彼女が美人なので同情しただけなのは認める)。

あらすじ

便座に腰掛けオスカー受賞スピーチの練習をするパプキン的な高い意識の持ち主ポリー・カスバート。オスカーを目指す彼女は、ドラマの安っぽいアルビノ役のオファーを請けることなく一蹴する。ところが、その役を演じた双子の妹エイミーが大好評でスター街道へ。一方のポリーはエージェントをクビになり、バイト先の映画館をクビになりとどん詰まりである。

感想

難癖をつけて折角のオファーを断ったり、バイト先の正社員昇進の打診も断ったりとポリーの勘違いっぷりはかなり酷い。部屋の壁には“ビジョンボード”なる恥ずかしいアイテムを飾り、オーストラリア在住なのにハリウッド・セレブの話ばかりしている。彼女にはさぞかし大層な実績が……あるはずもない。一歩間違えばパプキンという見ているこちらが恥ずかしくなってくるような女である(間違わずともほぼパプキンだったか)。

出世の切っ掛けとなるオファーを足蹴にした彼女が悪いのだが、チャンスを掴んだ妹と間違われる度に「私はエイミーじゃない」と否定する姿は気の毒。買い物中に、バイト先で、オーディションに呼ばれたことさえ間違いだったり。これは嫌になるだろう。バイト中に無断で写真を撮られて怒り客に悪態をついてクビになるのは、客の無神経さが苛立つだけにより気の毒に感じる。

本作は才能ある妹の影に埋没してしまった悲哀を笑うだけでなく、ちゃんとポリーが自分の駄目なところを自覚するのが良かった。酔った勢いでロサンゼルスへ飛び(機内で入国カードの職業欄に嬉しげに女優と書いて、その後即入管で止められるのが笑える)、現地で頑張る友人ゾーイ(イザベル・ルーカス)との会話の中で、どうして女優を目指しているのかについて彼女は考え直すことになる。彼女は「子供の頃からの夢だから」と女優を目指してきたが、それは大人になった今女優を目指している理由とはならない。彼女はセレブリティの上辺に憧れていただけで、貪欲にチャンスを掴みに行くほど女優になりたいわけではなかった。加えて、子供の夢を否定できない親という要素も描かれており、ちゃんとドラマとして成立している。

そこで自分の愚かさを自覚して終わり……とはならず、オーストラリアに帰国して、すっかり有名人になったエイミーに間違われるのを悪用しだしてからがコメディ的には本番。カフェで「お代は結構です。よければSNSにアップしてください」と言われたのを切っ掛けに、ドレスを無料で貰ったり、挙句の果てにはポリーの憧れでありエイミーの恋人であるジャレッド・レトと……な展開は、「間違う相手の方が悪いよな」と思えて、これも笑える。

ポリーの会話に出てくるハリウッドネタで「スカーレット・ヨハンソンヴィン・ディーゼルに双子の弟がいる」というのは本当らしい。下の記事で写真が確認できる。記事内に登場する双子の中では、キーファー・サザーランドの妹レイチェルは、父ドナルドの遺伝子が仕事をし過ぎている。

ジャレッド・レト役の俳優がジャレッド・レトに全く似ていなくて戸惑うのだが、エンドロールで「ジャレッド・レト氏はこの映画に全く関係ありません」の文言が入る。あまりに似ていないので、三十郎氏はジャレッド役の人を別の男の役だと勘違いしていたくらいである。