オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『エンバー 失われた光の物語』

City of Ember, 94min

監督:ギル・キーナン 出演:シアーシャ・ローナンビル・マーレイ

★★★

概要

地底都市を脱出して地上に出る話。

短評

シアーシャ・ローナンが超絶可愛いファンタジー映画である。スチームパンクな地底都市エンバーの雰囲気が良く、シアーシャ・ローナンが超絶可愛い。脚本は少々難ありなものの、子供向けとして観ても穴が酷いという程ではないし、何よりシアーシャ・ローナンが超絶可愛い。また世界観の全容が明らかにされないのが惜しいが、シアーシャ・ローナンが超絶可愛い。

あらすじ

何らかの原因により人類が地上に住めなくなってしまう。人類は種の存続のためシェルターとしての地底都市エンバーを建造し、“その時”が訪れれば地上に戻れるよう一つの箱を受け継いでいく(“その時”は当時の人間にもいつなのか分からないので、とりあえず200年後と設定される)。箱の中身を知らされないまま受け継ぐ者たちは、箱の存在を忘れ去り……。“その時”が訪れ、忘れ去られた箱を見つけるのが、本作の主人公リーナ・メイフリートちゃん(シアーシャ・ローナン)である。

感想

何らかの原因って何だ。気になるそれは明かされないが、巨大化した昆虫(蛾)や動物(モグラ)が登場するので、なんとなく放射能関係ではないかということが想像できる。これはなかなか上手い回避と示唆だったように思う。具体的な原因を挙げてしまうと整合性を取るのが難しくなり、安っぽいSFになる。想像の余地を残した示唆を入れることで、全くの原因不明で片付けてしまうよりは物語に入りやすい。

設備の老朽化により、エンバーは故障・停電が日常茶飯事である。停電状態で月明かりもないはずなのに真っ暗闇にならないのはおかしくないかと思うものの、リーナちゃんの顔が映らなくなるのは困るので仕方がない。このままじゃジリ貧というところでリーナちゃんが箱を見つけ、その中には地上への脱出方法が記されていた紙が入っていた。

その指示を基に地上へ脱出を図るアドベンチャーが本作の核である。無難に楽しく仕上がってはいるのだが、地底人たちは失われたものへの郷愁を感じずに済むように地上の存在を知らされていないという設定なので、初めて知る外の世界への不安のようなものはもう少し描かれてもよかったかと思う。セットが格好よくて、世界観もそれなりに面白そうな割に、脱出以外の部分がほとんどフォーカスされなかったのは少し残念である。あと20分伸ばしても2時間に収まるので、もっと遊びの要素があってもよかった。セットとシアーシャ・ローナンをもっと見ていたかった。

実はリーナちゃんだけが主人公というわけではなく、イケメン主人公ドゥーンと一緒に脱出する少年少女の物語になっている。とは言え、そんなことは関係ない。三十郎氏の目に映るのは可愛いリーナちゃんだけである。お転婆な妹(?)ポピーも可愛らしいが、こちらは流石に低年齢過ぎる(普通に歩いて超えられる幅の溝をジャンプする姿が可愛かった)。ビル・マーレイティム・ロビンストビー・ジョーンズといった魅力的なキャストが脇を固めているが、本作の魅力の八割はシアーシャ・ローナンが担っていると言って差し支えない。彼女は虹彩の色素がとても薄くて、余人をもって代えがたい華があるのだ。

エンバーでは就職先がクジ引きで決まるというユニークな制度が採用されている。失業がない代わりに明らかに適材適所にならないクソ制度なのだが、クジ引き後に交換が可能といういい加減さにより制度の穴を補填している。最初から求職者による話し合いにすると人気職に希望が集中して決まらないのだろう。とりあえず強制的に割り当て、当人どうしで合意形成できれば希望の職に就ける可能性もある。不満と不適合の問題は残るが、就職後にも転職の機会をつくるなどして対応可能か。ちなみに配管工を引き当てたリーナちゃんはメッセンジャーを引き当てたドゥーンと職を交換する。メッセンジャーの仕事は、紙ではなく口頭で伝言を伝えるという物資不足な地底都市ならではのものである。