オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『チャイルド・オブ・ゴッド』

Child of God, 104min

監督:ジェームズ・フランコ 出演:スコット・ヘイズ、ジェームズ・フランコ

★★

概要

屍姦趣味に目覚めた男の話。

短評

父が自殺し、母が逃亡した天涯孤独の狂人レスター・バラード(スコット・ヘイズ)が、偶然見つけた死体と交わったことから屍姦趣味に目覚める話である。原作が『ノーカントリー』のコーマック・マッカーシーなので、アメリカという国の血と暴力に彩られてきた歴史を曝け出し、「レスターもあなたと同じ神の子ですよ」と観客に突きつけるような意図があるのではないかと推測されるが、この映画だけだとそのような意図はあまり伝わってこなかった。

感想

レスターが最初の死体(ニーナ・リエティ)を発見し、丁寧に乳首までおっぱいを弄った後に辛抱たまらずハッスルしちゃったり、悩んだ末に持ち帰った彼女のために服や化粧品を買ってままごとをする微笑ましくないシーンは面白かった。殺した女(ファロン・グッドソン)の頭の皮を剥いでカツラにし、レスターが女装するシーンもインパクトがある。カーセックス中の車の側に近付いて自己処理したり、野糞するシーンはコミカルである(このシーンはボカしがかかっていた。確かに見たくはないが性器以外にボカしがかかっているのは珍しい気がする)。

これらの強烈なシーン以外は抑えが効いていて、一組のカップルを射殺するシーン以外殺害描写は、洞窟に集められた死体が映るだけで省略されている。

森の中の廃屋に勝手に住み着き、野生動物を捕獲して暮らし、常にライフルを携えて街をうろつくレスターは確かに狂人である。しかし、常に意味不明な言葉を喚いているわけでもなく会話は成立するし、ぬいぐるみや死体との会話が孤独の発露と考えると、彼ははみ出し者として育たなければ案外普通の人間だったのかもしれない。その辺りに彼と普通の人との間にある壁の薄さを感じた。

ただ、映像的に気になるのは省略されたシーンの方なので、大変物足りなく感じるのも事実である。彼がハッスルして「最高だ!愛してる!」と平凡と非凡が交錯する盛り上がりを見せたと思ったら失速するのも映画的にはいただけない。狂気と普通を接近させるにしても、狂気を普通に寄せてはつまらない。もっと狂気を描いてくれてもよかったのに。彼にとっては屍姦した女が初恋の人的な位置づけのはずで、そこから屍姦趣味にのめり込んでいく描写はあってもよかったはず。ほとんどレスターの一人芝居だったにも関わらず、彼のキャラクターが断片しか伝わってこなかったのも残念である。

映像がB級ホラー映画のような安っぽさで、舞台となる年代がいつ頃なのかよく分からなかった。

チャイルド・オブ・ゴッド

チャイルド・オブ・ゴッド