オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スター・トレック BEYOND』

Star Trek Beyond, 122min

監督:ジャスティン・リン 出演:クリス・パインサイモン・ペッグ

★★★

概要

カークが引退できない話。

短評

5年に及ぶ長期任務の3年目を迎え、カーク(クリス・パイン)が「本当に宇宙が無限なら旅に終わりがないのでは?」と弱気になる冒頭。これは「半永久的に続けられるTVドラマ故に物語の中心を貫く軸がない」と旧シリーズの頃から不満に感じている三十郎氏に対して一つの答えを提供してくれるのではと期待したものの、特にそんなこともなく「やっぱり旅を続けるぜ!」というある意味でスター・トレックらしい話だった。良くも悪くもいつも通りである。

感想

リブート版だけを観ている人はエンタープライズ号の大破シーンに驚くのではないだろうか。旧シリーズを観ている三十郎氏にはお馴染みとなった光景だが、『ミスター・スポックを探せ!』でエンタープライズ号が爆散したときには驚いたものである。「えっ!この船はシリーズの象徴ではないの?」と思ったが、何があろうとも旅を続けるのがシリーズの核なのである。それがリブート版にも引き継がれたということになる。軸はないが核はある。

アクションシーンが多いので退屈はしないが、その代償として未知のフロンティアを探索するという要素が弱まったのがリブート版の3作だったように思う。現代的なテンポや迫力で楽しませてくれるが、シリーズの核となる要素が薄まるのはオールド・ファンには寂しいところだろう。バランスの取り方が難しい。

スールーがゲイになっていた。『ジェネレーションズ』に娘が出てきたので妻がいるものと思っていたが、本作には夫と娘が登場する。この世界くらい科学が進歩していれば、養子や代理母に頼らずとも男だけで子をつくれたりするのだろうか(逆もまた然り)。前作まではカークが総受け的な人気者だと思っていたが、スポック×マッコイのようなカップリングもありうるらしい。

本作にもシートベルトが登場する。しかもこの時代よりも更に過去に造られたフランクリン号に搭載されている。何故古い機体にはシートベルトがあるのに、最新のエンタープライズ号からは消えてしまうのか。スター・トレック最大の謎である。

白塗り宇宙人のジェイラを演じているのがソフィア・ブテラなのだが、エンドロールを見るまで全く気づかなかった。クラールを演じるイドリス・エルバも過去映像がなければ分からない。旧シリーズのエイリアンたちはショボい特殊メイクのおかげで素の顔が分かり、エイリアンにしては人間らし過ぎるところがあった。しかし、エイリアンをエイリアンらしくすると有名俳優を起用する意味がないということが分かった。素の顔とエイリアンらしさのバランスを考えると、カレン・ギランが演じるネビュラくらいが丁度よいだろうか。

さて、そもそも三十郎氏は、タランティーノが“宇宙版パルプ・フィクション”と呼ぶ彼の新作となるはずの映画を楽しむための予習としてスター・トレックを観始めたはずである。果たしてその目的は達成されるのだろうか。映画化された全13作を観て、スター・トレックの世界観や設定はなんとなく理解できたものの、シリーズのファンになれたわけではない。むしろルーカスへの信仰を深める結果となった。この状態でタランティーノスター・トレックを観て十分に楽しめるのだろうか。そもそも本当に製作されるのだろうか。