オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『Miss ライアー』

The Eyes, 95min

監督:ロビー・ブライアン 出演:ミーガン・ウエスト、アナ・イザベル

概要

食事会と告白大会。

短評

サメ映画マラソンを経験した三十郎氏は強力なクソ映画耐性を身に付けた。桃色映像のドラマパードだけを90分間見せられているかのような『デビルシャーク』や『ロスト・ジョーズ』による拷問を体験すれば、ちょっとやそっとの酷さでは“駄作”や“クソ映画”、“最低”という言葉は使えなくなる。普通につまらないだけの映画を簡単に駄作扱いしがちな人は、一度これらの真の駄作を観てみるべきだと思う。そんな三十郎氏をもってしても「これはいかがなものか?」と首を傾げざるを得ないのが本作である。

導入は普通の低予算ソリッド・シチュエーション・スリラー、美女も出演している、演技も素人のお遊戯会ではない、一昔前の家庭用ビデオカメラで撮影したような低画質でもない。サメ映画の基準で考えれば、これらの条件を満たしている時点で一つ星は回避である。しかし、普通のB級映画だと思って観はじめたら、設定も展開も壊滅的に破綻していく。観客が抱くであろう疑問を出演者に代弁させた上で、それに対するまともな回答を用意できないというのは、制作者の怠慢を通り越して仕事放棄である。途中で「もういいだろ……」と諦めたくなった。

あらすじ

とある一室に集められた六人。目覚めた順に、赤毛のニット巨乳美人ジャクリン(ミーガン・ウエスト)、コーヒー豆ピアスのジェフリー、元ミス・プエルトリコで現ポルノ女優のセクシー美女ヴィクトリア(メーガン妃に似ているアナ・イザベル)、ハーバード大教授のアーノルド、元軍人の黒人漁師ロビー、カウボーイのデブ男ハリー。六人が目覚めたところでジグソウのような音声が流れる「我々は政府のプログラムで犯罪者を処刑します。一人だけ処刑しないであげるから皆で決めてね」。

感想

タイトルとパッケージが盛大にネタバレしているのであえて言うまでもないが、ジャクリンは嘘つきである。目覚めたときから妙に落ち着いている彼女が全てを仕切っているという見慣れたオチではないが、オチをやりたいがために全ての展開を準備した脚本の割にはショボいオチが待っている。そもそもジャクリンが最後の行動を採る必然性はないし、そこから導かれる結末にも違法性があることくらいは分かるので、全く腑に落ちない。どんでん返し系の映画だが結末に期待してはいけないし、そもそもパッケージをがネタバレしている。

「一人だけ生き残れる理由は?」という根本的な問いに対して「政府が決めたから……」と回答を拒否したり、皆で決めるはずが一人はルールの説明前に先行して殺されるという制度的矛盾があったり、これまた皆で決めるはずが途中から司会者が乱入して強引に話を進めはじめたりと駄目なところを挙げはじめたらきりがない。逆に良いところは、美人と美味しそうな食事くらいしかない。やたらと唐突かつ不必要な描写が多く、「いや、それどうなの?」といちいちツッコミを入れていたら心が折れる

恐らくは本作でさえもサメ映画マラソン中に観ていれば二つ星にしていたはずである。それくらい真の駄作たちは酷かった。もしかすると三十郎氏のクソ映画耐性が弱まっているのではないか。その可能性も十分に考えられるが、逆に考えてみればサメ映画のせいで評価基準が緩くなっていただけではないか。ただの駄作を真の駄作と比較して「『デビルシャーク』と比べればマシかな……」と甘々な評価をしていたのではないか。批判すべきを見逃していたのではないか。細部に面白さを見出だせるようになっていたのか、鑑賞眼が劣化していたのか。三十郎氏の映画観はこの夏出会ったサメ映画によって大いに揺るがされている。