オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スター・トレック』

Star Trek, 126min

監督:J・J・エイブラムス 出演:クリス・パインザカリー・クイント

★★★

概要

エンタープライズ号のクルーが若い頃の話。

短評

2009年のリブート版。のんびりという言葉では表現し切れないほど牧歌的だった旧シリーズを現代的にアレンジして、普通に面白い映画になっている。「俺はウィリアム・シャトナーの以外のカークは認めないよ」とマウントを取りたい人や「あののんびり感こそがスター・トレック!」という懐古主義者以外で、とりあえずスター・トレックに興味があるという現代の観客はこちらを観ればよいのではないかと思う(三十郎氏の好きなサイモン・ペッグも出てるし)。監督のJ・J・エイブラムスは、新しさや違いを創ることにかけては難があるものの、古い映画を単純に現代基準の映像に置き換えることにかけては卓越した手腕を発揮する職人だと思う。

感想

カーク(クリス・パイン)やスポック(ザカリー・クイント)の生い立ちから描かれており、キャラクターは掴みやすい。ジェームズが母方の祖父、Tがタイベリアスの略で父方の祖父の名前という事実が分かるのも面白い。他のキャラクターの変更点を考えればドラマ版のオリジナルの設定をどれだけ踏襲してるのかは不明だが、それほど決定的な違いはないように思う。カーク以外は外見も割と似ている。エンタープライズ号のクルーについては、若き日のウフーラ(ゾーイ・サルダナ)はイケイケの美女、マッコイ(カール・アーバン)は力強い男前、スールーは近接格闘に長けた肉体派となり、スコット(サイモン・ペッグ)は演者の持ち味を活かしたのかよりコミカルになっている。チェコフ(アントン・イェルチン)はロシア訛りがキツく若い。

壮大な宇宙規模の話を、降りかかる火の粉を払うかの如くドタバタとご都合主義的に解決するのは旧シリーズと同じである。タイムトラベルが絡むので少し状況を掴みづらいが、現代の映画らしいスピード感とアクションシーンのおかげもあり、力技で押し切れている印象を受ける。全体としては初めての観客にも親切な設計になっていると思うが、カークが唯一の成功者であるコバヤシマル救助訓練や本物の老スポック(レナード・ニモイ)の登場のように旧シリーズを観ていればニヤリとさせられる描写も多い。

スポックの母アマンダは、父サレクが人間と結婚した理由を「彼女を愛しているから」と言い切ってしまうのも納得なくらいには美人である。何と言っても演じているのがウィノナ・ライダーなのだから。彼女の出演シーンが短いのは残念。他にはウフーラのルームメイトのエロ緑ことゲイラ(レイチェル・ニコルズ)が美人だった。彼女が相手なら、三十郎氏も異星人と結婚するにやぶさかではない。

しかし、この映画からスター・トレックの世界に入ってオリジナル版へと還流するのは、よほど世界観にハマらない限りはキツいだろう。哲学の入門書を楽しんだ人が原著に挑戦するときのような体験になるはずである。

スター・トレック (字幕版)

スター・トレック (字幕版)