オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『キングダム・オブ・ヘブン』

Kingdom of Heaven, 191min

監督:リドリー・スコット 出演:オーランド・ブルームリーアム・ニーソン

★★★

概要

エルサレム攻防戦。

短評

グラディエーター』の二匹目のドジョウを狙ったが、そうはなり切れなかった歴史スペクタル映画群の一つである。ロマンは感じるし、戦闘シーンも大迫力。普通に面白いとは思うのだが、どうしても『グラディエーター』になり切れないのはキャラクターの魅力の欠如が原因だろうか。

あらすじ

鍛冶屋の青年バリアン(オーランド・ブルーム。彼はいつも鍛冶屋である)が、実は領主ゴッドフリー(リーアム・ニーソン)の隠し子だったので騎士として闘うという話である。ここだけを切り取るとコメディの設定のようだが、ちゃんと壮大な歴史スペクタルである。背景となる十字軍遠征については、世界史の授業で勉強したはずなのにすっかり忘れてしまっている。センター試験でも世界史を選択したのに(サラディンというサラーフ・アッディーンの略称は懐かしかった)。歴史ものを観る度に世界史を勉強し直そうかと思うが、今更教科書を読んでみるという気にもならない。

感想

十字軍側の視点で描いていながら、対立するイスラム勢力を悪としては描いていない点が特徴である。「富と領土のために戦っているだけ」や「我々は過去の戦いを引き継がされているだけ」といった台詞からも分かるように、正義ではなく戦争の本質が強調されているように思う。エルサレムの価値を問われたサラディンが「Nothing, but everything」と答えるのも印象的である。その分戦争アクション的なカタルシスは得られにくいのだが、投石機をはじめとする戦闘シーンの迫力で相殺か。

サラディンの大軍勢が登場したときに「どれだけエキストラ使ったんだろう……」と呆気に取られたが、この時代は既にCGでエキストラを描けるのだったか。それでも人も馬も沢山使ったに違いない。

バリアン役のオーランド・ブルームは少々物足りない。『ロード・オブ・ザ・リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』で着々とスターの階段を登っていた彼は、歴史スペクタルの主人公としては線が細くて頼りない。監督がリドリー・スコットということもあり『グラディエーター』のような傑作が期待されていたことを考えれば、マキシマスを演じたラッセル・クロウとの差がどうしても気になる。『トロイ』に続いて偉い人の妻を寝取ってしまう美男子ぶりだけはハマっているけれど。

歴史ものの映画は上映時間がどれだけ長くなっても許される風潮があるように思う。歴史スペクタルは、説明的な部分と戦闘シーンを両方見せるとなるとどうしても長くなるのだろう。本作も劇場公開版は二時間半、今回観たディレクターズ・カットは三時間超えである。文字通りの“壮大な歴史絵巻”なのだが、その壮大さや重厚感故に、観終わったときにはグッタリと疲れ切ってしまった。