オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スナッチャーズ・フィーバー -喰われた町-』

There Are Monsters, 96min

監督:ジェイ・ダール 出演:クリスティン・ランジールスザンヌ・ホーキンス

★★

概要

人間が“何か”に乗っ取られる話。

短評

人が背中を向けて静止しているだけの姿で怖がらせるという斬新さは魅力的だが、壊滅的なカメラワークのせいで最後まで集中力を維持するのはとても無理だった。設定も悪くない、乗っ取られた人物(特に店員)の表情も良い、ビックリ系の演出もハマっている。良いところはたくさんあるのに、映像があまりに酷すぎて一本の映画としては絶望的な出来である。

あらすじ

映画学科の学生四人が課題制作のためにOBのインタビューを撮影しに行くと、何か異変が起きている──というのが大まかな流れである。彼らがハンディカムで撮影した映像をつなぎ合わせたPOV形式を採っており、それが映像の見づらさの理由である。

感想

通常の撮影方式と比べて見づらいのは仕方ないが、本作の見づらさはちょっと常軌を逸している。POVが見づらいのは、主に手ブレやピンぼけ、極端なズームイン・アウトが原因である。本作でもそれらの欠点が遺憾なく発揮されている。更に極端な顔のアップが多すぎて状況が分かりづらい。まがりなりにも映像を学んでいる学生ならもう少しこだわれよと言いたくなるくらいに酷くて、初めてカメラを手にした子どもでももっとマシな映像を撮るのではないかと思う。逃げてる場面でもないんだからもう少し気を使えよ。カメラの扱い、構図の両方が完全にド素人のそれである。彼らの通うハートン大学ではまともな教育が受けられないらしい。

撮影された映像自体も酷いが編集もまた酷い。やたらと短いカットをつなぎ合わせており、忙しなくポンポンと画面が切り替わり続ける。人が話しているときくらいそのまま映せよ。そんなに聞き手のリアクションばかり映さなくてもいいんだよ。おまけにマシなカットから切り替わったカットがピンぼけ&手ブレで何が映っているのか分からなかったりするものだから救いようがない。これもまた集中力を削ぐ。

そして極めつけは、POVだから仕方ないと我慢しているのに、撮影者不明の映像が頻繁に挿入されることである。女子トイレの映像なんて誰が撮ってるんだよ!男子学生が盗撮する描写はないし、本人の自撮りだとしても酷い。顔が映るだけならまだしも、ここも短いカットでつなぐため複数のアングルから撮影されている。これが自撮りなら相当の変態である。「POVだから」という理由で観客に見づらさを強いるのなら、せめてその設定くらいは貫徹してくれないだろうか。それができないなら、普通に撮ればいいのに。

何度も画面が暗転するので「これで終わりなのかな?」と思ったら、その度に映画は続く。襲われたところで唐突に終わる結末でいいのに、暗転と復活が延々と繰り返される。100分もない映画なのに永遠を感じられた。これはサメ映画以来の感覚である。

元々は10分のショートフィルムだったようである。10分くらいなら見づらい映像にも耐えられるだろう。設定や演出には見どころがあるので、長編にしてしまったこと自体が最大の失敗なのだろう。