オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『イベント・ホライゾン』

Event Horizon, 95min

監督:ポール・W・S・アンダーソン 出演:サム・ニールローレンス・フィッシュバーン

★★

概要

海王星で事故を起こした探索船を救助しにいく話。

短評

エイリアン』を観て「宇宙とホラーは相性が良いに違いないぞ」と決め込んだ三十郎氏が期待して観たら、途中からホラーなのか何なのかよく分からなくなった。監督が『バイオハザード』のポール・W・S・アンダーソンと分かって納得である。確かにグロ描写には気合が入っている。この映画が後の『バイオハザード』製作に繋がったのだな。ただホラーとして観るべきではなかった。グロ格好いい映像集として楽しむべきだった。

あらすじ

2015年に人類が月へ移住している世界。現代の観客には『インターステラー』での説明でお馴染みの「紙に2つの点を書き、紙を折り曲げると2点間の距離が0になる」というワームホールを利用した移動システムが開発され、それで何処かへ行ってきたイベント・ホライゾン号がどうにかなってしまっている話である。『エイリアン』的な難破船の捜索から『ソラリス』的な自己の意識との対話へと推移して、最後にはしっちゃかめっちゃかなパニックとスプラッターになる。

感想

恐怖を描くときに、“得体の知れなさ”は一つの鍵となる。本作でイベント・ホライゾン号が行ってきた未知の宇宙での出来事は、正に得体の知れないものである。従って、その先に何が起きても不思議ではない。しかし、それが引き起こす恐怖は種類は、随分と具体的かつ肉体的である。取り憑かれた男が暴れ回る『シャイニング』風のホラーに終始し、宇宙の深淵はどこかに消え去り、“得体の知れた”恐怖がクルーを襲う。

しかし、『シャイニング』は怖いのに本作が怖くないのは何故だろう。異世界に通じる門が雪山の山荘にあるか宇宙にあるかという違いしかないはずなのに。雰囲気作りや演技の点でキューブリック&ニコルソンに圧倒的優位があるとしても、設定だけなら本作も怖くなってよいはずである。宇宙という舞台に特別なものを期待し過ぎたためにギャップが生じたのだろうか。博士にもクルーにも感情移入させらずに、ジワジワ追い詰めずいきなりドカーンな感じがよくなかったのだろうか。「これは〇〇で見たやつかな?」という元ネタ探しで怖がるどころではなかったのだろうか。

映像は良かった。両目の潰れたサム・ニールをはじめとして、無重力空間で浮遊していた死体が重力をオンされて砕け散ったり、レクター博士が警備員を吊るしたような肉体芸術が披露されたりとグロテスクなお楽しみには事欠かない。セットも豪華で、剥き出しの基盤が緑色に光る空間はなんとなく『マトリックス』感があって格好いい。ただそれらが“得体の知れない”恐怖の演出には役立っていなかったのが残念である。

そもそも得体の知れない恐怖なんて、三十郎氏が勝手に期待しただけで監督は全くそんなものを意図していないのかもしれない。そうだとすれば、お門違いな批判である。

キャストの中ではスターク中尉を演じるジョエリー・リチャードソンが綺麗だった。『エイリアン』と同じくコールドスリープ中は薄着である。薄着になる必要があるのなら、一人ずつ時間差で休眠&覚醒させて全裸になればいいのに。なお、おっぱいについてはウェアー博士の妻クレアがパンツ一丁で風呂に入り、手首を切っている。風呂に入るときはパンツも脱ぎなさいよ。

イベント・ホライゾン (字幕版)