オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『NARC ナーク』

Narc, 105min

監督:ジョー・カーナハン 出演:レイ・リオッタジェイソン・パトリック

★★★

概要

休職していた元麻薬捜査官が警察殺しの事件を追う話。

短評

映像も話も重苦しい映画である。『インファナル・アフェア』やそのリメイクである『ディパーテッド』のように、潜入捜査官が"朱に交われば赤くなる”という過酷な事情を背景としており、事件の全容が判明しても非常にモヤモヤとしたやりきれない気持ちが残る。

あらすじ

麻薬捜査官のテリスが、犯人を追う際に流れ弾が妊婦に当たって休職に追い込まれ、復帰後最初の仕事として麻薬捜査官カルベス殺しの捜査を任される。事件を追う相棒は暴力沙汰でこれまた休職中であり、殺された刑事の相棒でもあったオークである。

感想

殺人事件を追うミステリーの要素があり、謎解きとして納得のできる結末になっているが、ドラマの濃さがそれを圧倒する見応えである。麻薬組織を追う潜入捜査官が、時には自身もドラッグを使用しなければ不自然になる場面に遭遇するであろうことは想像に難くない。それを繰り返せば必然的に中毒となる。組織のため社会のために必要な犠牲が捜査官という個人に押し付けられる。誰かがやらなければならないことだが、本人や家族にとっては悲劇そのものである。ニュースで無能な警察の姿を見ると腹が立つが、中には想像を絶するような大変な思いをしている人もいるのだろう。

テリス役のジェイソン・パトリックは、レイ・リオッタの圧倒的存在感に完全に食われていて主役としては少々力不足。どこからどう見ても純度100%の危ない刑事の怖すぎるオーク(名は体を表す!)に伯仲するような俳優だと、過去、事件、家庭、立場と様々なものの板挟みになりながら藻掻く繊細な役とは全くの別人になってしまうという問題がある。抑えた演技と破壊的なキャラクターが上手い対比になっていたということにしておこう。

それでもやはりレイ・リオッタの怪演は抜群に印象的である。恫喝する姿も拷問する姿も実に堂に入っている。完全に本職である。暴力刑事=悪徳刑事という構図が一般的だが、彼には彼の事情がある。そのせいでラストのどうしようもなさが心に刺さるのである。

聞き込み捜査のシーンを四分割のマルチ画面にしている演出が良かった。成果の上がらない聞き込みはそれぞれの状況が詳しく分かる必要はないし、それを並行させることで苦戦ぶりも強調できる。

余談だが、「ナーク」を変換すると「宮古」が出てくる。沖縄の方言らしい。

NARC ナーク (字幕版)

NARC ナーク (字幕版)