オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ゲスト』

The Uninvited, 87min

監督:ザ・ガード・ブラザーズ(チャールズ、トーマス) 出演:エミリー・ブラウニングエリザベス・バンクス

★★

概要

精神を病んだ娘が父の再婚を阻む話。

短評

韓国映画『箪笥』のリメイクである。リメイク元はパッケージがおどろおどろしくて怖そうなのだが、本作と同じ内容なら観る必要はない気がする。本作はプロット自体は悪くないが演出が失敗している印象なので化ける可能性がなくもないが、それでもオチが分かっているのは強烈なハンデになりそう。

あらすじ

母の死で精神を病み入院していたアナ(エミリー・ブラウニング)が退院し、父の再婚相手(仮)のレイチェル(エリザベス・バンクス)が母を殺したのではないかと疑う話である。「桃色系看護士のレイチェルが父を略奪するために母を殺したには違いないわ!」との疑念から彼女の周囲や経歴を洗ってみると、引き出しから睡眠薬が出てきたり、病院の勤務歴が虚偽だったりして、アナは姉アレックスと共に確信を強めるのである(最初から確信している点については無視するものとする)。

感想

物語には二つの焦点がある。一つは、アナを襲うお化けが現実なのか悪夢なのかというもの。もう一つは、本当にレイチェルがアナの母を殺したのかというもの。

前者は、数回に渡り実害が生じることなくあっさり悪夢でしたと認めてしまうので、その後何が起きようと「どうせ悪夢なんでしょ」と観客が冷めてしまう愚を犯している。主人公が統合失調症であると判明した場合に何も信用できなくなるのと同じ現象である。従って霊的な面ではまるで怖くない。ミルクの入ったグラスを落とすと床に飛び散るのが血になるといったグロ美しい描写もあるが、怖くはない。これは後者にも影響する。

後者は、父の再婚相手を嫌う娘というありがちな心理描写が前面に出すぎている。加えて、その娘の頭がおかしいとなれば、「レイチェルが疑わしいみたいに見せてるけど、どうせアナの妄想なんでしょ」とこれまた冷めてしまう状態に陥っている。映画はアナの視点でレイチェルを疑っているはずなのに、三十郎氏の視点では、前述した影響もあって、アナの方が疑わしいという矛盾した事態が生じてしまっている。レイチェルが気の毒にすら思える。

「◯◯と見せかけて△△」という描写は、そのどちらなのか判別のつかない絶妙なバランス感が鍵である。本作はその点で決定的に失敗している。「こっちでしょ」と決めつけられるようならば、観客の側に揺れが生じないので、そこに不安や恐怖が生じる余地もないのである。

本作では、頭のイカれた女と継母への憎悪がアメリカ的なドライな感じに終わってしまっていたが、リメイク元の『箪笥』は韓国の家族制度がもっとドロドロしたドラマへと導いてくれていたりするのだろうか。韓国では六度も映画化された古典怪談だというだけあって、雰囲気作りに成功すればもっと面白くなりそうな話である。

ゲスト (字幕版)

ゲスト (字幕版)