オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『死霊館』

The Conjuring, 112min

監督:ジェームズ・ワン 出演:ヴェラ・ファーミガパトリック・ウィルソン

★★★

概要

中古物件を買った家族が魔女の霊に襲われる話。

あらすじ

死霊館シリーズの第一作。新居に越してきた家族に異変が起こり、エドパトリック・ウィルソン)&ロレイン(ヴェラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻が助けるというのが大まかなプロット。王道のホラー映画である。

感想

ホラー映画における恐怖が始まる切っ掛けとして、引っ越しが使われているケースが多いように思う。地縛霊的な考え方もあるのだろうし、それまでの平穏な生活が終わり別の生活が始まることへの不安が反映されているのだろうか。引っ越して一日目の夜は、なんとなく不安なものである(悪霊は現れなくてもNHKが現れるかもしれない)。本作のペロン家は有り金を全て注ぎ込んで新居を購入したため、ランバート家のように簡単に引っ越しできない。小説の『墓地を見おろす家』でもそうだったが、買った家を容易に手放せないという事情が、小さな異変に対して正常性バイアスを働かせている内に手遅れになるという物語的な都合の良さを違和感なくアシストしている。

引っ越しの翌朝には飼い犬のセイディーが死んでいるという最悪の幕開けを迎えた新生活だが、その後も様々な異変が起こる。ペロン家の母キャロリンの身体にアザが出来る、三女クリスティーンが寝ているときに足を引っ張られる、四女シンディー(マッケンジー・フォイ。『インターステラー』の頃は子どもだったのにインスタを見ると立派に成長している)が夢遊病になる、五女エイプリルが見えない友達と話す(どこかのハーレムアニメに出てきそうな娘だらけの一家である)。こんな感じでジワジワと怖がらせる順序を踏んだ後にドッカンである。身体が浮いたり吹っ飛んだりするオカルト展開である。まあ普通に怖い。

本作の良さは二点。一つは、開かずの地下室。板が打ち付けられて封印されていた地下室なんて、どう考えても何かあるし怖い。地下室というのもまたホラーの定番だと思うが、地中という本来は“埋められた”空間が過去の因縁を想起させるのだろうか。それとも単純に日中でも薄暗くて不気味なだけか。もう一つは、霊の性質。本作の悪霊は母親に取り憑いてその子どもを殺させようとする。悪霊の憑依と、その先にある親による子殺しという二重の恐怖の構造が成立している。

バスシーバが首吊りに使用した大木がいい感じにうねっていて「はい、ここにロープをぶら下げてください」と言わんばかりなのだが、あの木は本物なのだろうか。夜中にあの木の影を見るのは怖そうである。

本作にもアナベルちゃんが登場する。映画では「こんな不気味な人形を誰が買うのか」と驚くレベルの最凶ビジュアルを誇る彼女だが、実物の彼女は意外にも可愛らしい子ども向けの人形である。彼女の外見上の怖さは映画的な脚色である。本作も実際の事件を基にしているとのことだが、どの程度脚色されているのだろう。

死霊館(字幕版)

死霊館(字幕版)