オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『クール・ワールド』

Cool World, 101min

★★

監督:ラルフ・バクシ 出演:ブラッド・ピットキム・ベイシンガー

概要

二次元と三次元を行き来する話。

短評

アニメや漫画を好きな人ならば誰しも一度は抱いたであろう「二次元世界に行ってみたい」という願望。そして願わくは二次元美少女と戯れたい。本作がそんな夢を叶えてくれるような映画かと言えば、そうではない。

感想

二次元世界にいる三次元人間も、三次元世界にやって来た二次元キャラたちも違和感が凄い。両者を馴染ませるつもりなど毛頭無いのだろう。二次元キャラたちは“いかにも昔のアメリカのアニメ”的なヌルヌルとして現実離れした動きをしている。この違和感により、自分が今何を見せられているのか分からないような悪夢的体験ができる。難解な点などどこにもないのに意味不明という壮絶な体験である。

二次元と三次元の“融合”というより“組み合わせ”という感じである。本作では、両者の差異をあえて強調しているようなところがあるが、昨今の全く違和感を感じさせないような3DCG と実写の融合であっても、していることに本質的な違いはないというのは興味深い。本作で二次元世界へ行くブラッド・ピットガブリエル・バーンは、何もないところに何かあるように意識して演技しているという感じがありありと見えるのだが、現代の俳優たちのブルーバックでの演技も同様の困難が伴うはずである。

本作の最大の特徴は三次元男と二次元美女の交合だろう。クール・ワールドのホリー(キム・ベイシンガー)は、三次元男を誘惑しまくる。どうやら三次元男と交われば肉体を獲得できるらしい。そして、彼女と交わるジャックは、なんとクール・ワールドの作者である。自分の描いた理想のキャラと交わる!オタク冥利に尽きる至福の瞬間である。しかし、交われば肉体を獲得してしまう。二次元美女が三次元女になってしまう。それでよいのか!

両方の世界を行き来するシステムは意味不明だし、クール・ワールドの設定もよく分からないし、1945年にクール・ワールドが存在することで1992年のジャックが創作した世界なのか元からあった世界なのかもよく分からないし、二次元セクシー美女が三次元化したらアラフォーだし、分からないことだらけの話である。そんな作品の根幹部分であっても細かいことと切って捨てられるくらいには不思議な全てが斜め上を行く映画であった。ただ、面白くはない。

なお、本作が二次元世界に生きたいと願う者たちに提供してくれる答えはよく知られているものである。転生したいのなら一度死ぬしかない。

クール・ワールド (字幕版)

クール・ワールド (字幕版)