オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『パーティーで女の子に話しかけるには』

How to Talk to Girls at Parties, 102min

監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル 出演:エル・ファニングニコール・キッドマン

★★★

概要

パンク少年がエイリアンの美少女に恋する話。

短評

三十郎氏は性別を問わず人に話しかけるのが苦手である。購読しているブログにコメントをするだけでも懊悩を要する男である(従って的外れなコメントが飛んできても大目に見て受け流してほしい)。しかし、いつ何時エル・ファニングの如きアンニュイな美少女に出会う僥倖に恵まれるとも分からない。天文学的な確率を潜り抜けて出会ったというのに、何と話しかけてよいのか分からずみすみす撤退したのでは、宝くじの当たり券を持っていながら換金期間を逃すが如くの間抜けである。というわけで、話しかけ方を勉強しておく必要がある。

あらすじ

というような実利的な目的を持って本作を観ると返り討ちに遭う。受精的な夢を見るパンク少年エンの話しかけ方は三通り。①「学校で会ったよね。ほら、歌の……」。ヘンテコな歌を披露してあえなく撤退である。いきなり歌い出すのはやめよう。②「やあ、僕でよかったら話し相手になるけど……」。相手の女の子は話しはじめる。しかし、よく見ると彼女の指は六本あるし、なにやらわけの分からない話をしている。相手をよく見極めてからにしよう。③美少女に見惚れて覗いていると向こうから話しかけてくる。それもまたよく分からない話である。でも今度は向こうが乗り気なので上手くいきそうである。

感想

なぜ女の子たちはわけの分からない話ばかりをするのか。それは彼女たちがエイリアンだからである。隠喩的な意味ではなく、彼女たちは文字通りのエイリアンなのである。いかにもエイリアンですと主張する服を身に纏うエイリアンなのである。本作はそういう映画である。思春期の男子が憧れの女子に話しかける機会をうかがうなどという微笑ましい青春映画ではない。奇妙キテレツ、へんちくりんな映画である。本作を見てアンニュイ美少女に話しかける方法を学ぼうなどという破廉恥で見え透いた魂胆は今すぐに捨てた方がよい。

エル・ファニング演じるエイリアンのザンはヘンテコである。キスの間際にゲロを吐くし(このとき彼女の唇から涎が垂れているのが妙に艶めかしい)、脇を撫でさせるし、顔を舐めるし、エンの陰茎を眺めて「小さくて閉じてる」と評するし、誰彼構わずキスしてはゲロを吐くし。色々と羨ましいところがないではないが、理解不能である。

しかし、この理解不能さこそが男子から見た女子という存在を象徴しているのだろう。「女の考えなんて手に取るように分かる」という傲慢な男は即座に回れ右せよ。映画の終盤で、イケメンがデブの友人に「女と話すときは、自分が世間知らずのバカになったと思え」とアドバイスを送る。何も知らない相手のことを、自分の型に嵌めようとせず、ちゃんと知ろうとすることが第一歩なのである、多分。相手に気持ちよく喋らせられる男がモテるのにはこうした理由があるらしい。三十郎氏には無理な芸当である。

結論として、どうやって話しかければよいのかは分からないが、もし幸運にも話す機会が得られたなら、相手の話をちゃんと聞こう。いつでも話しかけてくれていいですよ、エルファニちゃん。英語聞き取れないけど。

ニコール・キッドマンがパンクなおばさん役で出演している。美人だけどヘンテコな役もこなす幅の広い女優である。エルファニちゃんのお姉さんも、子役の頃のイメージとは全く違う役を演じることが多くなったが、エルファニちゃん自身はいつまで物憂げな美少女でいてくれるのだろうか。