オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ミッション・ワイルド』

The Homesman, 122min

監督:トミー・リー・ジョーンズ 出演:トミー・リー・ジョーンズヒラリー・スワンク

★★★

概要

婚活おばさんがお爺ちゃんに夜這いをかけた翌日に自殺する話。

短評

トミー・リー・ジョーンズ監督作品である。彼はいつも渋い顔つきをしているが、撮る映画もなかなかシブい。日本で缶コーヒーを売って小遣い稼ぎしているだけの面白お爺ちゃんではないのである。

あらすじ

精神を病んでしまった三人の女たちを無責任にも「こいつはもう面倒見切れん」と故郷へ送り返す話である。妻を壊した夫が責任を取ればよいものを、何故か三人を護送する役目を担うのは31才の独身女メアリー(ヒラリー・スワンク)である。女ひとりでは危険な旅をやり遂げられぬと思ったのか、縛り首にされかけている偏屈爺さんジョージ(トミー・リー・ジョーンズ)を助け、300ドルの報酬と引き替えに旅の連れに。二人と、三人の荷物は東を目指す。

感想

メアリーのキャラクターが初っ端から強烈である。彼女の家を訪ねてきたギッフェンという男をもてなし、食事していたかと思ったら、いきなり「ギッフェンさん、私と結婚しましょう」である。ギッフェンに「結婚対象じゃない」と断られても「私を拒まないで」と食い下がる。なんという必死さであろうか。「私と結婚すれば幸せになれるわよ」と土地や家畜、資金アピールをしてもギッフェンには響かない。どこかで見た光景のように思うのだが、これはモテないおっさんの口説き方そのものではないか。唐突さと言い、相手の気持ちを無視しているところと言い、性別に関係なくこれでは逃げられる。そもそも必死過ぎて怖いし。

それでも彼女は高潔な人なので護送任務を引き受ける。数々の苦難を乗り越えて二人は東へ進む。目的地が近づいたある夜、彼女はジョージにプロポーズする「分かってるでしょう。私もあなたも若くないし早く結婚しましょう」。また資産アピールである。当然断られる。彼女は唐突にプロポーズし過ぎではないか。しかし、彼女の唐突な行動は更に加速する。その夜、寝床に就いたジョージが目を開けると、全裸のメアリーが仁王立ちしている。キャンプの炎をバックにして「抱いてよ」と言われても怖いだけである。嫌がるジョージの意向を無視して彼女は布団に潜り込み、二人は三人の女が見ている前で交わるのであった(爺ちゃん元気だな)。そして、翌朝ジョージはメアリーが首を吊って死んでいるのを見つける。

彼女はどうして自死したのだろうか。自分が男に受け入れられないという事実への絶望が考えられるが、それだけなのだろうか。プロポーズ、夜這い、自死という一連の流れが唐突過ぎて正直ついて行けない。メアリーは結婚できずに絶望し自死したが、彼女が運んでいる三人の女たちは結婚により壊れている。結婚しようがしまいが、女性にはとても厳しい時代だったらしい。だからジョージはホテルのメイドに告げるのである「西部の男とは結婚するな」。それでもジョージは西部を目指す。「俺たちは西部に行くんだ。どんな困難があろうとも」と歌い踊り狂い、映画は終わる。

壊れた女の一人、サワーズ(お人形遊びをしている女)役のグレイス・ガマーはメリル・ストリープの娘で、母娘共演作である。言われてみれば同じ鼻をしている気がする。

ミッション・ワイルド

ミッション・ワイルド