オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。

『ドッペルゲンガー 凍てつく分身』

Stereo, 98min

★★★

あらすじ

ファイト・クラブ』×『ジョン・ウィック』。

感想

いつものことながら「邦題のせいで分かりづらいことになっているな」と思ったら、三十郎氏がドッペルゲンガーの意味を勘違いして覚えていたことが発覚した。三十郎氏は「自分と瓜二つのそっくりさん」的な意味だと思っていたのだが、ドッペルゲンガーの本当の意味は「自己像幻視」であり、つまりは自分とそっくりの“幻覚”であるらしい。そういう意味では三十郎氏が間違っていたのだが、映画の方でも“自分の”幻覚を見ているわけではないので、やはりこちらも間違っている。

バイク修理工のエリック(ユルゲン・フォーゲル)が自分にしか見えない謎の男ヘンリー(モーリッツ・ブライプトロイ)に付きまとわれる。更にエリックのことを別の名前で呼び脅す男ガスパー(こいつは幻覚ではない)が現れ事件に巻き込まれていくと、エリックの忘れられた過去やヘンリーの正体が明らかになる。

謎の幻覚ヘンリーは何者なのか、エリックを脅すガスパーは何者なのか、ガスパーが名前を出すカイテルは何者なのか、そもそもこれだけ周囲に怪しい連中ばかりが集まってくるエリックは何者なのか。正体不明の男たちばかりが出てくるスリラー映画である。これだけ謎だらけだと必然的に不穏な空気を帯びる。不気味な雰囲気が魅力の映画である。そして、これらの謎が全て上手く回収されると気持ちが良い。

よく分からなくなりそうなところから上手くまとめたストーリーだと思うが、鍼治療で記憶を取り戻すというのはいかがなものか。記憶を取り戻すという行為や選択が物語の核心であるだけに、もう少し説得力を持たせてほしかった。

本当の自分を取り戻したエリックはイケイケである。そもそもマイケル・ルーカー似のこの男が大人しい善人だなんて誰が信じる。人を外見で判断してはいけないと言うが、限られた情報から的確に判断することも重要である。カイテルの手下をボコボコにする姿のなんと似合うことか。悪人顔の男というのはこうでなくては。

ドイツ映画である。チンピラのボス・カイテルが「ウクライナの売春宿で1日に50人の相手をさせてやる」という脅し文句を使うのだが、物価の高いドイツから安いウクライナへ売り飛ばしても旨みがないのではないかと思うがどうなのだろう。逆の出稼ぎパターンは多そうである。利益よりも司法の介入を防ぐのが優先なのか。それとも十分に稼げるのか。ちなみに、カイテルの所有しているナイトクラブはショッキングピンク級の桃色クラブだった。これより上となるとピンクを通り越してレッド・ライトである。なお、本作には幻覚に寝取られるという桃色要素もある。

ドッペルゲンガー 凍てつく分身 [DVD]

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