オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『レジデント』

Sorgenfri(What We Become), 80min

監督:ボー・ミケルセン 出演:マリー・ボーダ、エラ・ソルガード

★★★

概要

ゾンビが発生した地域が隔離される話。

短評

デンマークゾンビ映画である。ゾンビが最終盤まで出てこないゾンビ映画である。B級映画の素材としてゾンビが人気を集めているのは、特殊メイクだけで簡単に表現できるという予算的理由もあるのだろう。そのため大抵のゾンビ映画において、物語の導入部を除けばゾンビを出し惜しみすることはない。ゾンビは金が掛からないのである。それを逆手に取ったかのように本作ではゾンビがなかなか出てこない。普通のホラー映画のようなゾンビ映画の新たな一面が見られて面白いが、ちょっぴり物足りなくもある。

あらすじ

デンマーク感染症の発生した地域が隔離される(原題のSorgenfriは当該地域名)。政府の対応は早い。いち早く軍を送り込み、住民を家に閉じ込め、感染者は学校に収容して隔離、水及び食料は配給する。ここまでは表向きの発表通り感染症への対応と同じだが、実際にはゾンビが発生しているので、住民に気付かれないように家を黒いシートで覆う。初期対応が見事で、簡単にパニック映画にしてしまわない辺りにリアル感がある。ゾンビの被害拡大を防ぐにはこうすればいいのか。

感想

政府がいかに対処しようとも、青年のリビドーはそれを上回る。お向かいに引っ越してきたソニアちゃん(マリー・ボーダ)の様子が気になり過ぎるグスタフは家を抜け出し(事件前から彼女の部屋を双眼鏡で覗いてバレるくらいには気になっている)、彼女の家を覗いたついでに周辺の偵察へ。学校で感染者が射殺されているのを目撃し、動揺して感染者を解き放ってしまう。結果、軍は撤退を余儀なくされ、地域一体がゾンビに支配されるのであった。

ゾンビを解き放ってしまったグスタフだが、彼は自らが招いた混乱に乗じてソニアちゃんと恋仲になる。吊橋効果を利用した打算的ラッキースケベである。いかに緊迫した状況にあろうと若い男女がやることは一つ。たとえ行為の最中に母親が部屋に入って来ようとも、グスタフが幸運であることには違いない。羨ましいなあ。三十郎氏も逆夜這いをかけられたい。しかし、覗かれるときも交わるときもソニアちゃんのブラジャーが鉄壁の守りを崩さないのは何とかならないのか。サービス精神はないのか。

グスタフの妹マイちゃん(エラ・ソルガード)がとっても可愛らしいので、「他の奴らが全滅しても彼女だけは生き残っておくれ」と祈っていたのだが、パッケージに写っているゾンビ少女はどう見ても彼女である。絶望である。感染した彼女を撃とうとする父、守ろうとする母、そして結局撃てずに二人ともやられる展開は良かった。たとえゾンビになろうとも彼女が殺されるよりはよい。

最終盤になるとゾンビが大挙して押し寄せたり、ソニアが死んだはずの母の目を何度もグサグサと突き刺す、いわゆるゾンビ映画的な演出があるものの、映画のほとんどは非常に抑えられた演出がなされている。老人が消えたという言葉だけだったり草木についた血にはじまり、打ち捨てられた車に残された肉片といったものでゾンビの存在を示唆している。映画の大半は家の中の引きこもっているのに、ちゃんとゾンビ映画として成立しているのは興味深い。観客がゾンビについての知識を有しており、劇中の出来事をゾンビと結びつけて考えられるのがその理由だろうか。

レジデント(字幕版)

レジデント(字幕版)