オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ガリバー旅行記』

Guliver's Travels, 84min

監督:ロブ・レターマン 出演:ジャック・ブラックエミリー・ブラント

★★

概要

冴えないおっさんが難破して小人の島に流れ着く話。

短評

ジョナサン・スウィフトの風刺小説『ガリバー旅行記』から“小人の暮らす島”という表面的な設定だけを借りてきたような映画である。中身は何と言うか、……ジャック・ブラックの映画である。もっとも三十郎氏に「原作の風刺要素がどこにもない」とか「表面的」という言葉を使って本作を批判する権利はない。だって原作を読んでいないのだから。

あらすじ

新聞社の万年メール係のガリバー(ジャック・ブラック)が、コピペを駆使した記事を認められてバミューダ諸島へ取材へ出掛ける。嵐に遭遇して難破し辿り着いたのは小人の暮らす島だった、という話である。

感想

ガリバーは現代人、小人たちは中世的な暮らしをしているという違いはあるものの、彼らの基本的な違いは大きさだけである。スウィフトはこの設定からどのようにして風刺要素を引き出したのだろう。本作からはまるで見えてこなかった。冴えないおっさんが大きさを盾に調子に乗るという個人的な話に終始しており、それ以上の広がりは一切ない。

小人が巨大ロボットを造ってガリバーに対抗するという『パシフィック・リム』的な展開は気に入ったものの、それだけの技術があるのなら島の中に留まっている必要はないだろう。呪いの島の噂に怯える必要もない。小人たちの誇る驚異的な技術力が、ガリバーと小人たちとの間のギャップに対してチグハグに感じる。

本作の原作小説が本家とは言え、人間と小人の対比は『ナイト ミュージアム』のような他の映画でもよく見られるものである。従って、そこに何か+αの要素がなければ映画化する必要性自体に疑問を感じるのである。

設定上の不満は以上の通りで、後はいつものブラック・ジャック。この人の笑いや演技はあまりにベタなところがあるので、設定に上手くハマるかどうかが鍵となる。本作は設定の部分が上手くいっていないため、ジャック・ブラックもスベっている感が否めなかった。『スクール・オブ・ロック』のセルフ・パロディのような演技も既視感を覚えるだけである。

コメディ映画のご都合主義を批判するつもりはないが、ヒロイン・ダーシーの心情描写はあまりにも省略し過ぎではないか。それはガリバーにとって都合が良すぎるものなので、夢オチなのではないかという疑問を抱えたまま結末を迎えることになった。

ガリバー旅行記 (字幕版)

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ガリヴァー旅行記 (岩波文庫)

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