オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スター・トレックIX 叛乱』

Star Trek: Insurrection, 102min

監督:ジョナサン・フレイクス 出演:パトリック・スチュワート、ジョナサン・フレイクス

★★

概要

 不老不死の惑星の乗っ取りを防ぐ話。

短評

単体として話が成立している小さくまとまった作品である。そういう意味ではそれなりに楽しめるのだが、悪そうな奴らが悪玉で良さそうな奴らが善玉といった工夫の無さや、両者の対立における危機感のなさ、不老不死をもたらす放射線の都合の良過ぎる設定といった欠点が多く、特に見どころもないという凡作に仕上がっている。“叛乱”というタイトルには名前負けしている。

感想

高度な文明を放棄して牧歌的な生活を謳歌するバクー人の暮らす惑星を、美容整形技術により老化に抗うソーナ人が狙う話である。ソーナ人の計画に連邦の提督も加担している点がこれまでとの違いだろうか。シリーズ恒例の命令無視を艦長の独断でなく、正義のための行為に転換している。もっともソーナ人のやり方に問題があるだけで、謎放射線に関する技術の共有という提督の目的そのものは悪いことだとは思えない。彼らを見た目も中身も悪い奴にしてしまうのは少々短絡的とも思える。その問題を解決するために外見の良し悪しで感情移入を促すというのは更に短絡的に思える。

同じく単体として成立している『故郷への長い道』と同じくコミカルなシーンが多い。謎放射線による若返りの影響を受けたピカードがマンボを踊りだしたり、ウォーフにニキビができたり、ライカーとディアナがお風呂でイチャつきだすというサービス・シーンまである。暴走するデータを止めるためにピカードが歌い出すシーンもある。カークよりもシリアス系艦長だったピカードの新たな一面が見られた。

二十世紀末にもなると映像的にはかなり良くなってきている。宇宙船の背景に描かれる赤い星雲のようなものは綺麗だし、ソーナ人の美容整形も面白い(効果はないように見えるが、しないともっと酷いのか)。一方でバクー人の暮らす村は完全に地球でしかないので、宇宙的ロマンはまるで感じられない。600人のバクー人が暮らすエリアはかなり限られていると思うのだが、謎放射線の恩恵はそこでしか受けられないのだろうか。