オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スタートレックV 新たなる未知へ』

Star Trek V: The Final Frontier, 106min

監督:ウィリアム・シャトナー 出演:ウィリアム・シャトナーレナード・ニモイ

★★

他:ラジー賞最低作品賞、最低監督賞(ウィリアム・シャトナー)、最低主演男優賞(ウィリアム・シャトナー

概要

神に会いに行く話。

短評

カークを演じるウィリアム・シャトナーが監督を務めたシリーズ五作目。監督の椅子は内輪での持ち回りなのか。一作目はロバート・ワイズという大物監督だったのに(良い方向へ働かなかったが)。前作鑑賞後の予想通りクリンゴン人はカークへ反感を抱いており、彼が追われる展開になるのだが、そこがなし崩し的に解決されてしまったのは残念。このシリーズには本筋以外のドラマや盛り上がりをいい加減に片付けてしまう傾向がある。その割には無駄な(お色気ではない)サービス・シーンが多かったりする。

あらすじ

スポックの腹違いの兄サイボックが中立地帯の代表者を人質に取り、エンタープライズ号を乗っ取って、神に会うため惑星シャカリーに向かう話である。サイボックは論理を拒んだ感情的なバルカン人という異端の存在なのだが、他のバルカン人も意外に感情に基づいて行動しているところがあると思う。

感想

“神の存在”などという深淵なテーマに迫ることに失敗しているのはどうでもよい。この宇宙のどこかの星に神がいるとしても、ソーのように浮世慣れしたビール腹のおっさんが出てくるのが関の山である。本作に出てくるのはもっと酷い。結局神なのか何なのかよく分からないホログラム野郎である。本作の核は神のいる星を探すことではない。きっと新しくなったエンタープライズ号を披露することなのだ。

前作で大佐降格のプレゼントとして新型エンタープライズ号を与えられたカーク。これまでは外観と司令室が画面に映るほとんどだったのに対し、本作では艦内で追いかけっこを繰り広げるなど、新型エンタープライズ号の内覧会の様相を呈している。事件は司令室以外でも起きている、艦内限定で。しかしながら、これは完全にファン専用の内容である。

シャトナー監督のファン・サービスはそれだけではない。映画の冒頭、カークはヨセミテ国立公園でイーサン・ハントよろしくロック・クライミングに挑戦している(『M:I-2』のOPはこのオマージュだったのか)。マッコイは「命を粗末にしやがって」と怒っている。墜落するカークをスポックがスーパーマン的に助けたり、おっさん三人でキャンプしながら“Row, row, row your boat”と歌ったりと休暇を楽しむ姿は、この映画に“物語”を期待する者を完全に置き去りにしていく。孤独なおっさんたちが身を寄せ合う姿を微笑ましいと思うか、歳を重ねても馴れ合いをやめられないのかと嘆くか。

アクションシーンにちゃんとBGMがついていたり、船(特にシャトル)の移動速度が上がっていたりと改善が見られる点もある。

ウフーラの謎ダンスによる誘惑が最大の見所である。ちなみにドラマ時代のウフーラとカークは、テレビで初めてキスした黒人女性と白人男性の組み合わせなのだとか。言われてみれば、エンタープライズ号の人種構成はかなり現代的である。