オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スタートレックIV 故郷への長い道』

Star Trek IV: The Voyage Home, 118min

監督:レナード・ニモイ 出演:ウィリアム・シャトナーレナード・ニモイ

★★★

概要

過去から未来へクジラを連れて帰る話。

あらすじ

前作で上官の司令を無視して宇宙へ飛び出し、連邦の船を強奪及び爆破し、クリンゴン人の船を盗み、バルカン星に潜伏していた反逆者集団カーク御一行が「仕方がないから出頭するか」と地球へ戻ろうとしたところ、地球に近付く謎の探査船の影響で地球へ帰れなくなり、その解決のためにタイムトラベルしてクジラを連れて帰るというぶっ飛んだ設定の話である。

感想

導入パートでは「何言ってんだ、こいつら……」と呆気に取られていたが、映画の公開された時代である20世紀後半のアメリカに降り立ってからはドタバタ・コメディとして楽しめた。スター・トレックの世界に未だ馴染めていない三十郎氏としては、毎回同じような話が繰り返されているようでこれまで辛かったのだが、本作は雰囲気がガラッと変わって助かった。

観客としては“未来人が現代にやって来た”という感覚だが、劇中では“現代から過去に飛ぶ”という設定なので微妙にギャップがあるものの、時代が違うと人々の話が食い違う面白さは同じである。20世紀後半のサンフランシスコを歩くカークたちは明らかに怪し気なコスプレ集団なのだが、周囲の人々が意外にも気にしていないのが笑える。途中でパンクなお兄さんも出てきたし、西海岸の人々は他人の服装について寛容なのだろう。マッコイとチェコフは割と溶け込んでいた。

服装は溶け込んでいても言動はおかしいチェコフ。彼に軍事基地や原潜の場所を尋ねられ、無言で返す警察官。あえて何も言わないのは、おかしな人間はいくらでもいて相手にしているとキリがないということか。答えてあげる通行人は親切である。三十郎氏なら避けて通る。

他の文化的ギャップのネタだと、スポックが20世紀後半風の乱暴な言葉を使うシーンが笑える。口調と内容がまるで合っていない。あとは、スコットがコンピューターのマウスに話しかけるシーンだろうか。三十郎氏は数十年前のコマンド式のコンピュータを使えないだろう。数世紀前のコンピューターに戸惑いつつもキーボードで操作できるスコットはさすがエンジニアである。

光学迷彩(?)で透明化したバウンティ号が着陸するときに、ゴミ箱が潰れ、地面が沈み込む描写が面白い。分かりやすいパントマイムも使いつつ、ちゃんと透明であることを活かしている。

地球にやって来た探査船の目的は、ザトウクジラと交信することだったが、連れて帰ったザトウクジラが「人間は我々を絶滅させる悪い奴らだから何とかしてくれ」とメッセージを送っていたらどうなったのだろう。日本は消失していたかもしれない。

クリンゴンの代表に反逆者であると告発され、議長にも軍規違反を指摘されるも、“諸般の情状を酌量して”ほぼ無罪となるカーク御一行。カークだけが命令無視の責を取り大佐に降格である。降格とは言っても現場の艦長業務に復帰できるという願ったり叶ったりの降格で、正にご都合主義的大団円である。諸般の情状って何だよ!法の下の平等はないのか!この温情判決にクリンゴン人は大いに不満を抱くだろう(カークの関係者以外にとっても法の恣意的運用は不満なはずである)。ここにカークとクリンゴン人の深い因縁がはじまり、さらなる戦禍を呼ぶのであった。知らんけど。