オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『11ミリオン・ジョブ』

Empire State, 93min

監督:ディート・モンティエル 出演:リアム・ヘムズワース、ドゥエイン・ジョンソン

★★

概要

史上最高に楽勝な史上最高額の強奪事件。

短評

現金を輸送・保管する警備会社に就職した男が、あまりに杜撰な管理体制を目の当たりにして失敬しようとする話である。盗むのが驚くほどに簡単なため計画と呼べるほどの計画もなく、犯罪映画としては物足りない。他の部分も特に魅力的ではなく、盛り上がりに欠ける一作だった。実際の事件を基にしているそうなので、本当にこんなにも簡単に大金を盗めるのかという意味では驚くことができる。

あらすじ

警察官を志望するものの、友人エディの逮捕歴が原因で応募を断られた主人公のクリス・ポタミティス(リアム・ヘムズワース)。彼が仕方なく就職した警備会社の現金管理体制が凄まじく杜撰な上に倫理的にも破綻した企業なので、「こいつはちょっと失敬しとくか」と会社の保管する金に手を付ける話である。

感想

身辺調査の対象が親族だけでなく友人にまで及ぶのかと驚くが、親しい友人の悪影響は確かに大きいだろう。その後、クリスは盗みに手を出すわけで、彼の倫理観や周囲からの悪影響を疑うのは結果的に正解であった。

盗みは簡単である。夜間の警備は一人しかいないし(クリスが夜勤ならば実質警備無し)、現金をいくら保管しているのかも把握されていない。現金の入った袋が一つや二つ無くなったところで誰も気付かない。「こいつは楽勝だぜ」と一つ盗むクリス。これを繰り返せば簡単に金持ちになれただろうに、彼は阿呆なので阿呆な友人のエディにベラベラと喋る。エディはクリスに輪をかけた阿呆なので地元の悪い奴らにベラベラと喋る。阿呆ばかりである。コメディ映画じゃないんだぞ。とにかくイライラさせられてばかりである。

悪い奴らにまで話が広がると、「よっしゃ!じゃあ全部いただこうぜ!」と話が大きくなる。一度目は偶然に別の強盗が現れたことで計画が中断されたが、二度目はエディが単身乗り込んで根こそぎ強奪していく(現金を少し残していく理由は分からないが、彼が阿呆だから「このくらいいでいいか」と飽きたのだろうか)。超絶阿呆が一人で成功させられるくらい簡単な泥棒ではワクワクしない。

その後、ドゥエイン・ジョンソン演じる刑事の筋肉を全く必要としない捜査によりクリスたちは逮捕されるが、盗まれた現金の内かなりの額が消えたままという結末である。そもそもいくら盗まれたのか把握できないのだから、本人にインタビューする匂わせエピローグにも意味はないだろう。その設定を上手く活かした『ローガン・ラッキー』は面白かったことを思い出した。

いっそのこと誤認逮捕されたマフィアに狙われるしっちゃかめっちゃかな展開にしてもよかったかもしれない。映画が長くなると見る気がしなくなるレベルなのが難しいところだが。

ちょい役で出演しているエマ・ロバーツがかわいい。彼女はダイナーの店員役である。三十郎氏はダイナーの制服が好きなのだと思う。行ったことはないけれど。ダイナーのかわいい店員と言えば『ベイビー・ドライバー』のデボラ(リリー・ジェームズ)も良い。他に誰か印象的な店員はいただろうか。『スティング』のロレッタは不美人。

11ミリオン・ジョブ (字幕版)