オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ミーン・ガールズ』

Mean Girls, 96min

監督:マーク・ウォーターズ 出演:リンジー・ローハンレイチェル・マクアダムス

★★★

概要

アメリカの女子高生の生態系についての話。

短評

15歳までホームスクーリングをしていて学校に通ったことのなかったケイディ(リンジー・ローハン)が、初めての学校生活でスクールカーストという名の権謀術数に飲み込まれる話である。悪の化身の女王蜂レジーナをレイチェル・マクアダムスが、脳みそ空っぽ女のカレンをアマンダ・セイフライド(本作で映画デビュー)が演じている。悪役だった彼女たちが女優として成功している一方で、主役だったリンジー・ローハンがすっかり落ちぶれている辺りに哀愁を感じる。三十郎氏が見た彼女の最新の姿は『マチェーテ』で無意味に脱いでいる誰でもよいような役だっただろうか。

感想

女子高生は大変である。こんな頃から権謀術数の真似事のようなことをやっていて疲れないのだろうか。男が内輪の権力の座を巡って争い出すのは働き始めてからということが多いのではないかと思うが、三十郎氏の知らない場所では駆け引きが繰り広げられていたのだろうか。三十郎氏は本作で言うところの“Asian Nerd”的な席に安住してきたために、対処すべき面倒な事柄と言えばもっぱら自身の愚かさであったように思う。おじさんは「こんなことばかりしていると歪んでしまうよ」と心配するけれど、していない三十郎氏もばっちり歪んでいるし、後の人生で役に立つのかもしれない。

女子高生の世界なんて三十郎氏から最も遠い場所にある世界なので、この映画にどれほどの真実味があるのかは分からない。自分がケイディの立場ならどうするかを考えるよりも、空からサメが降ってきたらどうするかを考えておく方がよっぽど身近な関心事項である。思い当たる節のあるかつての女子高生たちならもっと楽しめるのかも知れない。それともこんなご都合主義的ハッピーエンドは受け入れられないか。

興味深かった台詞は、ケイディの「レジーナは嫌いだけど、彼女には好かれたい」というもの。これは単に彼女と仲良くしておくことによるメリットを意図してのものなのだろうか。それとも、クイーンビーは嫌な奴でもあるが、やはり魅力的であることは否定できないのか。有名人やインフルエンサーと呼ばれる人たちを見て、「どうしてこんな人が人気を集めているのだろう」と疑問に思うことが三十郎氏にもある。三十郎氏の見ている悪い面と同じくらい良い面もあるのかもしれない。

本作の保健体育の授業では「セックスはするな。妊娠して死ぬ」と教えながらコンドームを配布し、「触ったら最後。クラミジアに感染する」と脅している。それでももちろん事に及んでいるわけで、レジーナはアーロンに“半分”処女を捧げたそうである。半分って何だ。後ろが未使用なのか。

それにしても学校公認のキングとクイーン、つまり支配者を生徒の中から決めるなんて凄い制度である。負け組に敗者のメンタリティを植え付けるプロムの文化だけでも三十郎氏には耐えられそうにないが、人生の早い段階から社会は平等でないと刷り込んでいくなんてアメリカは怖い国である。

ジーナを中心とするグループ“プラスチックス”のメンバーはよくピンクの服を着ている。ピンクという色はいかにして“女の子らしさ”の象徴としての立場を獲得するに至ったのだろうか。かつて三十郎氏が「女にとってのピンクは宗教みたいなものだな」と不用意に発言したところ、相手は自身を否定されたと思ったのか大いに憤慨していた。大きなお世話であることは認めるが、別に怒らずともよいではないか(と考えるのは身勝手か)。ピンクというのはそれほどまでに特別な存在なのか。

ミーン・ガールズ (字幕版)

ミーン・ガールズ (字幕版)