オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スター・トレック』

Star Trek: The Motion Picture, 132min

監督:ロバート・ワイズ 出演:ウィリアム・シャトナーレナード・ニモイ

★★

概要

老害集団がエンタープライズ号を乗っ取る話。

短評

かつて三十郎氏は熱狂的なスター・ウォーズのファンであった。信仰する宗教はジェダイだと言い切る時代があったほどである。もう一つのSFの大家である『スター・トレック』に対しては観たこともないくせに謎の敵愾心を燃やしていた。ディズニーのせいなのかおかげなのか、信仰心は衰えを見せ、更にスター・トレックの新作映画はタランティーノが監督するという。「これは見なくちゃいけないのかなあ……」と逡巡していたところ、ちょうど利用中のHuluでオリジナル版の映画シリーズが配信されていた。「これは好機かな」と思ったところ、三十郎氏の購読しているKさんのブログで感想が書かれているのを見つけ、「やっぱり面白くなさそうだな」と意欲が減退した。

それでも気になったものは観てしまうのが三十郎氏の悲しい性である。ちょうどタランティーノ映画の背景への教養不足を認識したばかりでもある。「サメ映画の過酷さに比べればこれくらい!」との言葉に背中を押されて、三十郎氏は今、スター・トレックの世界に足を踏み入れる。

感想

とにかく全てがゆっくりしている。ストーリーの展開も遅いし、宇宙船の動きも遅い。ただ移動するだけなのにどれだけ時間を掛ければ気が済むのか。未知の脅威が地球に迫っているという緊迫した状況のはずなのに、エンタープライズ号はどうしてこんなにのんびりと航行しているのか。背景やミニチュア模型をじっくりと見せてくれるのは構わないが、もう少し“盛り上げる”ということを意識してもよいのではないか。冒険的要素よりも美術を楽しむ映画なのか。

驚いたのは、戦闘シーンがなかったことである。「事件はすべて会議室で起こっている」とばかりに、エンタープライズ号の中、それも司令室の内部でほぼ全ての物語が完結する。カメラがエンタープライズ号の外を捉えたかと思えば、ウィーンと直線的でゆったりとした時間が流れるばかりである。ビジャーがボイジャーでしたというオチは面白いのだが、地球への脅威となる破壊的な描写が全くないために随分と牧歌的なまま映画が終わってしまった。

主人公のカークはろくでもない男である。地上勤務の提督が、その権限を濫用して新型エンタープライズ号を乗っ取る。「俺が一番上手くエンタープライズ号を扱えるんだ。今から俺が艦長な。今までの艦長は副長ってことでよろしく」。なんという横暴。その後もかつての仲間を呼び寄せて、老人オールスターズでエンタープライズ号を支配する。船に迫る危機にも上手く対処できず、ピンチを救うのは副長に降格したデッカーである。最後に身体を張るのもデッカーである。ドラマ版のファンにとってはドリーム・チームが帰ってきて嬉しいのかもしれないが、初見の三十郎氏にとっては「何だこいつら……」である。唯一知性的かと思われたスポックも「船のデータが盗まれる!壊してしまおう!」とコンピュータを殴り出すあたり意外と脳筋である。デッカーが霧散していくところを眺める姿は、紛れもなく三馬鹿である。

映画が始まって最初の台詞が英語ではない。エイリアンのエイリアン語から始まる。これは期待できると思ったものの、その後に登場するエイリアンは顔に特殊メイクのマスクをつけているだけだったり、スキンヘッドにしているだけだったりと独創性に欠けていて残念だった(スキンヘッドお姉さんのアイリーア役パーシス・カンバッタは美人)。皆あまりにも人間的過ぎて宇宙のロマンを感じられない。

本作を面白いとは思えなかったが、偶数作目の方が評判が良いらしいので、過度に期待せず、本作のようにのんびりと視聴を続けようと思う。ダメならダメで憎きトレッキーを罵倒できるので、それもまた一興。いずれにせよ、サメ映画の酷いやつよりはマシである。

スター・トレック?(字幕版)

スター・トレック?(字幕版)