オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『エイリアン2』

Aliens, 117min

監督:ジェームズ・キャメロン 出演:シガニー・ウィーバーランス・ヘンリクセン

★★★★

概要

リプリーがLV-426に戻って大量に繁殖したエイリアンたちを戦う話。

短評

監督がリドリー・スコットからジェームズ・キャメロンへバトンタッチ。逃げ場のない宇宙船を舞台としたホラー映画から女シュワルツネッガーと化したリプリーが無双するパニック・アクションへと生まれ変わった。「これは『エイリアン』とは別物だろう」と不満に感じる反面、「これはこれで面白いな」と思ってしまうのが悔しい。同じことを繰り返しても前作を超えることはないし、クイーンを登場させたりして物語の方向性だけでなくエイリアンの生態系についても奥行きを広げてくれたのが良かったのだろう。

感想

怪物が一体だけならホラー映画、複数出てくるとパニック・アクション、無尽蔵に湧いてくるとコメディになる。アサイラム方式は過去の名作からの流れを踏襲して成立していたのだ。怪物一体の持つ能力が同じであっても、数が増えると相対的に弱くなる。倒さなくては話が進まないので仕方がない。前作では一体のエイリアンにノストロモ号のクルー全員が蹂躙されていたが、本作では海兵隊リプリーがマシンガンや火炎放射器でエイリアンを次々と殺す(しかし、次々と湧いてくる)。一体にかける時間が短くなるとテンポが良くなる。このテンポについてはエイリアンと戦い以外のシーンでも意識されているようで、宇宙船の着陸や離陸がスムーズになっている。じわじわと着陸させて未知の惑星に降り立つ恐怖や不安を煽った前作とは対称的であった。

シャトルが回収されて解凍されたリプリーだが、査問会で責め立てられる姿は前作でクルーから蔑ろにされていた姿に重なる(それに大して強い抵抗を感じさせるのは前作の経験から来るものか)。これは上手いと思ったのだが、その後のリプリーはほとんど別人である。宇宙を漂っていた57年の間に娘が亡くなっていたため、何を犠牲にしてでもニュートを助け出そうという気持ちは理解できる。一方で、海兵隊がエイリアンの襲撃を受けた際に、上官の命令を無視して突撃、救助に向かうのは、前作の経験と矛盾しないか。前作で一人の命を救うためにクルー全員を危険に晒すリスクを批判したのは彼女である。行動原理が変わっている上に、何も学んでいない阿呆ではないか。

定番となったエイリアン射出作戦だが、卵を燃やさずさっさと逃げていれば宇宙船まで追ってこなかったのではないか。本来ならば無駄な展開ということになるが、パワードスーツを着てクイーンと戦う名場面が見られなくなるのは辛い。ホラー映画で非合理的な行動を取る者は死ぬ運命にあるが、本作はアクション映画である。見せたいシーンが優先されるのだ。怖い映画ではなくなったが、非常灯の赤い照明とエイリアンは相性が良くて、ホラーとしても使える描写だと思った。

とっても気持ち悪いエイリアンの産卵。エイリアン本体はメタリックというか無機質な素材感なのに、ニュルニュルとした粘液をまとっているのが生々しさを感じさせる。ただ得体が知れないというだけでなく、生物と非生物の中間的な存在にすることで怖さに手触りが加わるのだろう。

救出されたリプリーが地球へ戻らないところが良かった。ディストピア的に狭い居住区に追いやられているために、宇宙船内の物語とシームレスで惑星探査に進むことができる。一度地球に降り立っていれば、リプリーの心境にも変化があるだろうし、観客にとっても宇宙の話がどこか遠い世界の話になってしまう。

エイリアン2(字幕版)

エイリアン2(字幕版)