オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ジャックと天空の巨人』

Jack the Giant Slayer, 114min

監督:ブライアン・シンガー 出演:ニコラス・ホルトユアン・マクレガー

★★★

概要

イケメン農民が美しい王女と懇ろになる話。

短評

「『ジャックと豆の木』ってこんな話じゃなかったよな」と思っていたら、『巨人退治のジャック(Jack the Giant Killer)』という民話や本が別にあるのだとか。どちらの方が先に成立した物語なのだろう。KillerにせよSlayerにせよ“巨人殺し”という意味になると思うのだが、英語圏でも“退治”に相当する柔らかいニュアンスがあるのだろうか。クロエ・モレッツが出演している同タイトルの映画もあるが、こちらの内容は『ジャックと豆の木』である。ちなみにとてもつまらない。

あらすじ

魔法の豆が水に濡れると急速に成長して空まで伸びる。ちょっとしたホラー的展開である。空まで伸びた巨大な蔓の先には天空の大地があって、そこには巨人が住んでいる。巨人の国に忍び込んだ少年がお宝を失敬して……という話ではなく、蔓に攫われた王女(エレノア・トムリンソン)を助けたり、蔓を伝って降りてきた巨人と戦う話である。

感想

大きさの感覚というのは相対的なもので、最初に巨人が現れたシーンでは巨人は紛れもない巨人なのだが、巨人たちの世界に人間が入り込んだシーンでは巨人が普通で人間が小人に見える。見上げるときと見下ろすときの角度の違いもあるのだろうが、無意識に多数派を“普通”と認識させられているようである。

巨人のワイルドな料理法が面白い。(人間を含む)動物を生きたまま生地で包んで火にかける。生地を捏ねる知能があるのなら精肉もできるだろうに。丸ごとでは味も馴染みにくいだろう。それとも骨の食感が巨人たちの楽しみなのだろうか。三十郎氏はあまり好きではないが揚げた魚の骨が好きな人も多い。巨人と人間のサイズの比率的にフライドチキンの骨をバリバリ食べるくらいの食べづらさになりそう。

ジャックがファロン(ビル・ナイ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』以降、CG俳優のイメージがある)の口に豆を放り込むシーンは、幼い頃にスイカの種が胃の中で成長したらどうしようと怖れていたことを思い出させた。あれで最終決戦が片付くのは消化不良な気もするが、あれ以外にはどう考えても人間側に勝ち目がないので仕方がない。

舞台を現代へ移した続編が作れそうな終わり方なのだが、果たして原型が分からない程に装飾された王冠を巨人たちは認識できるのだろうか。苦労の末に伝説の王冠を手にした主人公が頭に乗せて堂々登場するものの、巨人たちが「は?何それ?」みたいな冷めた反応の後に呆気なく主人公を食べる展開を見たいのだが、ダメだろうか。ダメだろうな。

ユアン・マクレガーユエン・ブレムナーが出演しているのだが、二人の掛け合いがないのは少し残念。主演のニコラス・ホルトは『マッドマックス』のニュークスのイメージが強いが、彼が演じた他の役を見るとニュークスは異端な気もする。あの振り切った役をよく演じ切ったものである。

ジャックに一度売り飛ばされた馬のアンセルが、少しよそよそしくなっているところが笑えた。

ジャックと天空の巨人 (字幕版)