オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『ダイ・ハード3』

Die Hard: With a Vengence, 128min

監督:ジョン・マクティアナン 出演:ブルース・ウィリスサミュエル・L・ジャクソン

★★★

概要

不運な黒人がテロリストに弄ばれる話。

短評

特定の場所で孤軍奮闘する物語だった前二作から、ニューヨークの街を舞台にしたバディ・ムービーへと方向転換したシリーズ第三作。シリーズの魅力がスポイルされたと憤るか、新たな魅力が加わったと喜ぶのかは人によるが、三十郎氏は後者である。サミュエル・L・ジャクソン演じるゼウスのキャラの良さのおかげだろう。原題よりも邦題の方がナンバリングが分かりやすいというのは珍しい気がする。

あらすじ

本作のマクレーンは“不運にも事件の現場に居合わせた男”ではない。犯人からのご指名である。爆弾テロの犯人から「〇〇しないと爆発させるよ」と脅され、ハーレムで“I HATE NIGGERS”の看板を身に付けたり、公衆電話のある場所へと走らされたりと無理難題を吹っかけられる。今回はトレードマーク的なタンクトップを着ているので、前作よりもズタボロ具合が分かりやすい。なお、前作では仲睦まじかった妻とは喧嘩別れしている。ヒーローも大変なのだ。

感想

マクレーンが“不運にも事件の現場に居合わせた男”でないとすると、このシリーズの核は何だったのかという疑問が浮かぶ。不運な男が孤軍奮闘する。これがダイ・ハードという物語ではなかったか。どうやらそれは勘違いだったようで、実は別の主役がいるのである。それでは主役は誰か。いや、何か。爆発である。本作の悪役が爆弾魔ということからも分かる通り、地下鉄を破壊し、船を沈め、ヘリを撃墜と爆発シーンには事欠かない。火薬だ。火薬こそが真の主役なのだ。

マクレーンの相棒となるゼウスは“不運にも事件の現場に居合わせた男”と呼んでもよいだろう。職務でもないのに最後まで戦い切った彼は紛れもないヒーローである。小学校の爆弾解除に奮闘した男も隠れたヒーローと呼んで差し支えない。

三十郎氏が特に気に入っているところは、犯人の手口の鮮やかさである。マクレーンに対する復讐を隠れ蓑にして、FRBの金庫から金塊強奪計画を進める。まるでオーシャンズではないか。銃を使わず、人を殺さなければ惚れ惚れするような強盗である。巨大な掘削機で穴を掘るシーンでは心の尻尾がフル回転である。マクレーンという厄介すぎる男さえいなければ、彼らの計画は見事に成功していただろう。華麗なる強盗計画を警察側の視点で追う映画として見ても面白いのである。

サイモンのなぞなぞの内、一番目(引っ掛け問題)と三番目(3ガロンと5ガロンの容器で4ガロンを測る)は簡単。二番目の「旅行に使う四本足」は「象」と言われても意味が分からなかったので調べてみると、象の鼻をtrunkと呼ぶのだとか。trunkが持つ「木の幹」という意味から転じたようである。なるほど。四番目の歴代大統領は難しい。歴代総理大臣を訊かれても分からない。

万引少年に「警察がいないから盗み放題だ」と言わせてマクレーンが計画の真相に気付く演出は好きなのだが、観客が真相を知る順番が先なので逆にしてもよかったのではないかと思う。

前作から5年が経過して、ブルース・ウィリスの生え際が後退している。残酷な時の流れを感じる。三十郎氏はこのくらいの後退具合になる前に坊主にする決心をしようと思っている。生え際の後退は仕方のないことだが、雨でびしょ濡れにしてスカついた後頭部まで晒す必要はないだろうに。

ダイ・ハード3 (字幕版)

ダイ・ハード3 (字幕版)