オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『パニック・フライト』

Red Eye, 85min

監督:ウェス・クレイヴン 出演:レイチェル・マクアダムスキリアン・マーフィ

★★★

概要

飛行機から電話を掛ける話。

短評

人気女優がキャリアの初期に主演しているB級ホラーやスリラー映画と言えば、お目当ての女優以外には何の見どころもない駄作ということが往々にしてあるのだが、本作は意外にもちゃんと面白かった。三十郎氏のようにレイチェル・マクアダムスだけが目的という人も、純粋にスリラー映画を楽しみたいという人も、両方が満足できるような一作ではないかと思う。

あらすじ

主人公のリサ(レイチェル・マクアダムス)が“犯人から要求されること”も“解決のためにするべきこと”も“電話を掛ける”だけというシンプルな話である。ホテルのフロントマネージャーのリサが、飛行機で隣に座ったジャック(キリアン・マーフィー)から政府高官の宿泊する部屋を変更しろと脅迫される。ジャックはリサの父を人質に取り脅迫してくるため、機内でナイフを突き付けられて脅されるような地味な中での派手な展開もない。

感想

悪役がショボいとか(喉を刺されても全力疾走して暴れ回るという怪物的側面もある)、サブキャラが物語に絡んでこないので描写が無駄だったとか、着陸しても携帯電話が圏外なのは終盤のお約束的展開のための引き伸ばしだろうとか、色々とツッコみどころもあるが、舞台と物語の焦点を極端に限定したことで全体としてスッキリとまとまっている印象を受けた。

邦題はエアポートシリーズのようなパニック映画を連想させるが、原題の“Red Eye”は飛行機の深夜便を意味するそうである(劇中の日本語訳は最終便となっている)。睡眠不足で目が充血することに由来する言葉のようだが、確かにこの状況ではリサは眠れない。一方で他の乗客は普通に眠っていたりする。周囲の干渉を最小限に留めて、リサが自分一人でなんとかするしかないという状況を作り出している。しかし、隣に犯人が座っているので、できることも少ないというのがまた面白い。

一番面白かったのは、それまで良い人だったジャックがいきなり犯罪の計画を話し始めて、リサが「何の話か分からないんだけど」と怯えるシーン。本当に唐突なので、「は?何言ってんの、こいつ?」と困惑するリサと感情を共有できる。他には、武器を手にしてジャックを待ち伏せるリサがジャックを見失い、逆に追い詰められる状況の転換が良かった。

飛行中に電話使っちゃいかんだろうと思っていたら、アメリカの飛行機の座席には電話が備え付けられているサービスがあるらしい。三十郎氏は航空業界に詳しくないので、国内線の飛行時間の長いアメリカ特有のサービスなのかと思ったら、日本にも機内公衆電話というものがあったらしい。機内wifiが浸透すれば完全に過去の遺物となるのだろう。

お目当てのレイチェル・マクアダムスは素晴らしくきれいだった。正義感と思いやりに溢れる強く美しい女性の役である。伏線になっているとギリギリ言えなくもない下着姿が拝めるのも有り難い。ドリンクこぼしたオバさん、グッジョブ。

パニック・フライト (字幕版)