オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『スティング』

The Sting, 129min

監督:ジョージ・ロイ・ヒル 出演:ポール・ニューマンロバート・レッドフォード

他:アカデミー賞作品賞、監督賞、脚本賞デヴィッド・S・ウォード)、編集賞(ウィリアム・H・レイノルズ)、美術賞ヘンリー・バムステッド他)、衣装デザイン賞(イーディス・ヘッド)、音楽賞(マーヴィン・ハムリッシュ

★★★★

概要

詐欺師集団がマフィアのボスをカモる話。

短評

なんという清々しさであろうか。「気持ちよく騙される」という言葉は、正に本作のためにあると言っても過言ではない。初めての鑑賞ではないので結末は知っているのだが、それでもなお気持ちいい。「このシーンは伏線になっていたのか」と気付くところも多い。巧妙に仕組まれたプロット、爽快感、軽妙な音楽と何度観ても色褪せない素晴らしい映画である。やはり名作と謳われる観ておいて損はないと思うのである。

あらすじ

二流詐欺師のフッカー(ロバート・レッドフォード)が、そうとは知らずギャングの上納金を詐欺ってしまったことから師匠のルーサーが殺される。師匠の敵討ちをせねばならん。フッカーは生前のルーサーに紹介された一流詐欺師ゴンドーフ(ポール・ニューマン)に会い、詐欺師大集合の愉快な弔い合戦が幕を開ける。

感想

場外馬券売場をそっくりそのまま設営してしまう豪胆なアイディアを軸として、偽実況、電信局長の成り代わり、FBIと、これはもはやミッション・インポッシブルである。計画の立案から実行、ロニハンを巻き込む過程に至るまで一切の破綻がない緻密さと鮮やかさ。しかし、大規模な作戦にトラブルはつきものである。なんのトラブルもなく計画が進めば映画はつまらない。この必ず生じるトラブルの存在まで逆手にとって騙してしまうのだから面白い。

三十郎氏が特に好きなのは、一度勝たせたロネガンが店を出たときの雰囲気である。「お前ら全員詐欺師だったのかよ」と思わず笑ってしまう。

驚愕のラストとは別種の“気持ちよさ”が肝である。『ソウ』のように観客を騙すための巧妙な仕掛けを施している映画は、ラストに「あーこう来たかー!」となる。これはこれで気持ちいい。対する本作は、騙しているところを見ていたはずなのに気付いたらこっちが騙されていたといった感じで、騙されたことにより受ける印象が異なる。ただ騙されたのではなく、二重に騙されたような。この感覚の違いを上手く言葉にできないのがもどかしい。

キャスケットの似合うロバート・レッドフォードも格好いいが、ポール・ニューマンが抜群に格好いい。登場シーンこそ飲んだくれのどうしようもない男で、服を着たままシャワーを浴び(『ナイスガイズ!』はこのシーンのパロディだったのか!)、洗面台で大きな氷を砕き、水を張って酔い覚ましをしているが、一度仕事に取り掛かると仕草の一つ一つがセクシーである。仲間を集めるシーンでは鼻を擦って合図を送る。格好いい男には台詞なんて必要ないんですよ。

この時代のネクタイは太くて短い。スーツのシルエットも現代と比べるとゆったりめである。映画で見ていると格好よく思えるが、真似すると大変なことになるんだろうな。

スティング (字幕版)

スティング (字幕版)