オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『オーシャンズ8』

Ocean's Eight, 110min

監督:ゲイリー・ロス 出演:サンドラ・ブロックケイト・ブランシェット

★★★

概要

ダニー・オーシャンの妹が宝石を盗む話。

短評

サンドラ・ブロックケイト・ブランシェットは紛れもないスターだが、ジョージ・クルーニーブラッド・ピットという当時の旬のトップスター二人に比べると一枚落ちる。従ってお祭り映画感は失われているのだが、その分期待のハードルも下がって、パワーダウンしたなりに面白い映画として上手くまとまっている。

感想

キャストを女性に一新しただけでなく、メットガラといういかにも女性の観客が憧れそうな舞台が用意されている。現代的な価値観に当てはめるとソダーバーグ版のオーシャンズは男の世界を描いた男のための映画だったのだろう。本作は明確に女性向けとして再構築したといったところか。キラキラの宝石や豪華なドレスといった要素も女性を喜ばせるものだろう。かと言って男が観るとつまらないなどということは決してなく、仲間を集めて何かを盗む計画や実行の魅力は損なわれていない。特典映像でアン・ハサウェイが「『オーシャンズ11』と『プラダを着た悪魔』の中間」と評しているが、正にその通りである。

印象的だったのは悪役を設定していないこと。復讐相手の元カレはいるものの、宝石は彼から盗むわけではない。デビー(サンドラ・ブロック)がルー(ケイト・ブランシェット)に対して「刑務所に入れられた気持ちは分からないでしょ」と言うシーンがあるように、同じ思いをさせるという共感性の要素も本作の女性らしさか。

アン・ハサウェイの使い方はとても上手かったと思う。悪役でもなく味方でもない、ただ利用されるだけのつまらない役にはもったいないキャストである。有名で存在感もある彼女が、計画に巻き込まれるだけで参加しないのではもったいな過ぎる。

計画の内容についてだが、ダフネ(アン・ハサウェイ)がトイレに辿り着くまでにネックレスをしている映像は監視カメラに残っているだろう。タミーが偽物を取り出す映像も残っているだろう。全員にドレスを着せたいのは理解できるが、ナインボールリアーナ)が会場に現れる必要はないし、コンスタンスが着替えるのも不自然である。その辺りは全て勢いと見せたい映像重視である。

最近は何でもコンピューターで解決してしまいがちだが、それだと泥棒映画は面白くないので、ナインボールの存在感が控えめだったのは良かった。

明確に失敗だったのと思うのはイエンを出してしまったことである。旧シリーズのファンとしては嬉しいサプライズだが、キャストは女性で固めるべきだった。ついでに監督も女性で固めればよかったのに。イエンの担う役割も大きすぎる。明らかにオーシャンズの一人としてカウントされるべき人材だろう。ナインボールの妹を含めて『オーシャンズ10』でもタイトルは被らない。続編を意識したときに、8から始めれば3作作ってもタイトルが被らないからか。雑技団を探せば同じようなことのできる女性もいるのだろうが、最初から仲間にしてしまうとあの展開がサプライズにならないので難しいところではある。

最後にお墓の前でダニーと再会するものだと確信して楽しみにしていたのに出てこなかったので残念だった。

ところで、トゥーサンはあの形状のカルティエのネックレスという点に付加価値はないだろうか。バラしてしまっても価値はそのままなのか。

オーシャンズ 8(字幕版)

オーシャンズ 8(字幕版)