オーガナザイズド

三十郎氏は映画とカメラと旅について語りたい。なお、実態はほぼ映画である。

『シャークウォーター 滅びゆく捕食者』

Sharkwater Extinction, 84min

監督:ロブ・スチュワート 出演:ロブ・スチュワート

★★

概要

人間がサメを襲う話。

短評

サメ映画マラソン最後の一作。サメ映画を観ていると、サメというやつはいかにも凶暴で、(シェパード家以外の)人類は無力であると感じるが、現実世界で凶暴なのは人類の方である。年間1億5000万匹のサメが殺され、その内の半数が密漁によるものであるという。魚肉を目的としている場合もあるが、釣ったその場でヒレだけを切り取られて本体は海に捨てられるケースも多い。こうしたサメの実態を告発するドキュメンタリー映画である。サメ映画マラソンをゴールして現実に帰ろう。

感想

結末から書くと、本作の製作者ロブ・スチュワートがダイビング中に死ぬ。悲劇的ではあるが、彼に興味のない観客からすればサメの話なのか彼の話なのかあやふやになって映画が終わるので不満である。彼はマイケル・ムーアほどの強烈なキャラクターがあるわけではなく、いかにもな感じの環境保護論者なので、彼の意志を引き継ぎましょうとか言われても少々興醒めなのである。彼がフカヒレマフィアに殺られたなんて事態ならば映画的に大きな意味を持つが、ダイビング中の不慮の事故はサメとは無関係である。

ドキュメンタリー映画としての弱さは言葉に頼りすぎている点。密猟者やフカヒレマフィアを悪し様に言いたいのは分かるが、「脅迫されて撤退した」「発砲を受けた」と説明するのに映像や音声が伴わなくては意味がない。逆に印象操作と取られてもおかしくない。美しいサメの映像を見せるよりも、それらが滅びゆくことを裏付ける映像を見せなければ主張に説得力が伴わないだろう。

もう一つ惜しいのは、サメの保護とサメ肉の有害性をごちゃまぜにしてしまった点。サメは上位捕食者なので生物濃縮が起こり、水銀などが溜まっている。「危険ですよ。食べない方がいいですよ」と主張しても、その裏にあるサメの保護という主張が全く隠れていない。人体への有害性はサメの保護とは別の観点から検証・議論されるべきである。別種の問題を並行して主張しても説得力が上がらないばかりか、その逆となりうる。あれもこれもと根拠の部分を混乱させると本来の主張を見誤る。

かくして三十郎氏のサメ映画はゴールを迎えた、面白い映画もあったし、つまらない映画もあった。映画と呼びたくない映画もあった。サメ映画の魅力とは何であるのか。三十郎氏は未だに分からない。認められるのは、その圧倒的な中毒性である。

三十郎氏がサメ映画の真の魅力を理解していない証左として次のようなものがある。

三十郎氏がサメ映画について調べている内に、サメ映画学会なるサイトに出会った。

そこではサメ映画総選挙なるものを実施しており、栄えある第一位はなんと『シャークネード カテゴリー2』であるという。それも大差で。三十郎氏がシャークネード・シリーズで最も低く評価した作品なのに。他にも『デビルシャーク』や『フランケンジョーズ』が、『ジョーズ』や『ディープ・ブルー』よりも上位にランクインしている。わけが分からない。

サメ映画について少しだけ理解を深めたつもりであったが、サメ映画ファンについてはまるで理解できない。本当に総選挙上位の作品が良かったと思っているのだろうか。酷ければ酷いほどよいのか。一部のマニア以外が絶対に観ない映画を観ているという事実そのものを喜んでいる内輪ノリだとしか思えない。それとも真のサメ映画ファンだけが辿り着ける境地があるのだろうか。